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2000年5月 3日 (水)

人生はギャンブルだ

 最近メールで会社設立のご挨拶状を出したこともあり、多くの方から「優良企業を簡単に飛び出してすごい勇気だね」と言われます。もちろんお世辞の部分が多分にあるとは思いますが、確かに自分も退職届けを出すまでは多少(笑)の躊躇があり、辞めるのには多少(笑)の勇気も必要でした。ところが実際に退職して会社を始めてみると、逆に退職を躊躇していた時の、サラリーマン的感覚の方が特殊だったのだと考え始めました。

 会社を退職してサラリーマンを辞めてから、初めて理解できた部分もあるのですが、最近改めて、『人生は全てギャンブル(賭け)なんだ』と実感しています。高度成長期の日本社会は、終身雇用制で安定成長だったと言われていますが、実はそれこそが幻想だったのではないかと思います。考えてみて下さい、終身雇用とは誰が責任を持って雇用を保証する制度なのか? 一般的には、会社(経営者)が保証すると解釈されているようですが、そもそも資本主義社会において、会社の経営者が将来を保証するなどということが出来るわけがないのです。ちょっと考えれば分かることですが、将来の雇用を保証するためには、将来の会社存続が保証されなくてはなりません。ところがそんなことを保証してくれる機関はないのです(もちろん国は保証してくれません)。ということは、いくら現在の経営者が、「30年後も君たちの雇用は絶対に保証する」と公言したとしても、30年後にその会社が存続していなければ保証しようがありませんし、経営者が交代していた場合に、後継者がその言葉を守る保証も無いということになります。資本主義経済において、事業会社はいつでも簡単に倒産するものですし、そのようなことは、高度成長期においても頻繁に起こっていたはずです。ただ、日本経済全体が成長過程にあったため、倒産会社の社員も比較的スムースに他社に吸収されていって、そのために社会的に顕在化・問題化しなかっただけだと思います。

 一般的に会社が倒産するということは、そこで働いていた会社員にとっては未回収債権が発生するということを意味します。通常の倒産会社には負債が存在しますが、債権には担保や抵当権などの回収優先順位があります。では、倒産会社の雇用者に対する未払い賃金や退職金には回収優先順があるのかというと、普通はありません。それはその様な契約を、会社と雇用者の間で締結していないからです。ということは、会社が倒産した場合にその会社に雇用されていた人は、退職金等何らかの形で未回収金の発生を覚悟しなければならないのです。みなさん、もらえるはずだと退職金をあてにして住宅ローンなどを組んでいませんか?

 話は戻りますが、上記のことを踏まえた上で、『人生はギャンブル』ということをもう一度考えてみて下さい。独立・転職というと、失敗したら負債を背負うという本当の賭のような気がしますが、実は現在の会社に居続けることも賭けなワケです。どの会社に雇用されていたとしても未回収金が発生する可能性がある以上は、サラリーマンであることも立派な賭です。賭けるということは当然リスクが発生するということであり、賭けることによる将来の(色々な意味での)利益とそのリスクを、秤に掛けてどうするかを決めるべきでしょう。

 まだうまく考えがまとめられない部分も有り、極論的に聞こえるかもしれませんが、自分がサラリーマン→経営者(まだ何もしてませんが)と意識が変化するなかで、改めて社会について考えて理解した部分を書いてみました。私は独立する方に賭けたわけですが、会社に残った方は居続ける方に賭けているわけです。結果としてどちらが良いのかは場合によると思いますが、サラリーマンの方は、自分が毎日人生を賭け続けていることを認識した方が良いのではないかと思います。少なくともリストラを決定する経営者の方は、間違いなく認識していると思いますので。

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