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2000年7月

2000年7月31日 (月)

維新の志士の話 つづき

 早いものでもう8月ですね。最近システムの構築やプログラミングといった実作業に入っていますので、よけいに1日が早く感じられます。昔からそうでしたが、私や塩田はプログラミングやシステムをいじっているときに独り言をよく言います。ですから、最近はお互いに独り言をぶつぶつ言いながら作業をしていて、気がついたら夜中になっていて「もう帰らなきゃ」という感じで日々すぎています。

 前回↓のコラムで書いたことは、それなりに共感していただけたようで、何人かの方からメールをいただきました。実は前回はあえて書かなかったのですが、維新の志士の話には続きがあります。それは明治政府樹立後の権力闘争についてです。明治政府が樹立されてしばらく経つと、維新の功労者とされた第三世代の志士達は次第に表舞台から消えていきました。高杉は病死、坂本・中岡両名は維新前夜に暗殺され、大久保も明治5年(だったかな?)に暗殺されましたし、西郷とその一党は西南戦争で一掃されました。こうして次第に、維新の時点ではまだまだ小物だった山県や伊藤等に権力が移動して行きました。明治政府下で実際に莫大な利益を得たのは、実は第四世代志士とも言える人々だったワケです。
 インターネット革命でも、もしかしたら後に第四世代の人々が出現して利益を傍受するのかもしれませんが、我々がそんなことを考えていては誰も革新を産むことは出来ません。第一・第二世代を否定するのではなく、現在の我々に出来ることをヤルだけやってから考えた方が良いと思います。

 話は変わりますが、ちょっとだけこのコラムの趣旨に基づいた話を書いてみたいと思います。最近起業関係の書籍を2冊程読みました。

  • 「ベンチャーキャピタリストが語る 起業家への提言」
    スタートアップ研究会著、税務研究会出版局
  • 「起業と株式公開への戦略 ザ・ベンチャーキャピタル」
    スティーブ・ハーモン著、ソフトバンクパブリッシング
 上の本は、起業家に求められる人物像から、実際の財務戦略立案に必要な要素の解説まで、下の本は、米国VCの実体をインタビューを元にして書いたもので、著者自身もVC業界に近い人物です。上の本は、複数の人を共著なので内容にばらつきがありますが、日本のVCの人が書いていることもあり、今後の資金調達をする上で参考になりました。下の本は実在の米国VBの名前を挙げて解説されており、ファイナンスの数字なども掲載されていて、非常に興味深く読みました。米国の真似をすることが全てではありませんが、実際に日本のVC活動が米国に比較して遅れているということを考えると、情報としては有用だと思いました。

 実際に起業を考えている方も結構多いとは思いますが、まずはこのような本を読んでみることが良いのではないでしょうか。私も実感していますが、やはりサラリーマンとは全く異なる世界ですので、下準備をするのは必要だと思います。勿論準備を十分にしたからといって巧くいくものでもないし、だいち準備に時間をかけていたらチャンスを逃してしまうでしょう。ある程度の気構えが出来ればいいのではないかと思います。

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2000年7月19日 (水)

インターネット業界と維新の志士

 最近色々と忙しくて、このコラムの更新が出来ませんでした。すいません。早いもので、今月で会社設立から5ヶ月目に入ってしまいました。最近色々とあって、よけいに早く感じます。毎日ネット上の情報をチェックして業界動向をリサーチしていると、米国業界を始めとするそのダイナミックな動きと、多くの日本企業が未だ抱えている旧来の日本式思考法との摩擦・アンマッチを切実に感じます。そんなわけで、今回は日本のインターネットビジネス展望について述べてみます。

 日本では、このインターネット勃興の動きを、明治維新の変革になぞらえることが多くなってきています。確かに、(大枠での)製造業からサービス業への転換ということは、徳川政権による鎖国状態から一気に政権転覆して天皇中心政治を創り上げた、明治維新に良く似ていると思われます。(余談ですが、私は昔、司馬遼太郎氏の小説が好きで、『竜馬が行く』や『世に棲む日々』等を読んだものです。)そこで、明治維新の進行とそれに伴って活躍した志士達の入れ替わり状況を、現代のインターネットに比較して考えてみたいと思います。

 維新の初期に活躍した人々は、水戸藩の天狗党や長州藩の吉田松陰に代表される、尊皇攘夷の思想人達であったと思います。彼等は、国学という学問をベースとする知識人の意見を代表していました。いわば、世相の変化に敏感なパイオニア的な人々です。彼等は、尊皇攘夷を唱えて全国を説法して廻りましたが、時代が早すぎた為か、安政の大獄等の政変によってその殆どが刑死しました。彼等を志士第一世代とします。その次に出てきたのは、彼等の思想を受け継ぎつつも、学問的な色合いを薄めて政党色を打ち出した、土佐藩の土佐勤王党等でしょうか。土佐勤王党は、尊皇攘夷思想というよりも、むしろ下級武士の体制への不満を原点にしていたと思われますが、その彼等にしても、徳川体制を転覆して革命を起こすという発想はおろか、公武合体論にまでも到達しておらず、単に漠然とした新政治というモノを考えていたように思います。彼等第二世代も、第一世代と同様に殆どが刑死しました。その次に登場してきたのが、かの有名な坂本龍馬や長州藩の高杉晋作、薩摩藩の西郷隆盛といった第三世代の人々です。この第三世代まで来ると、尊皇攘夷という思想はかなり薄れ、地方の有力諸侯と中央幕府との権力争いといった面が出てきます。このころの幕府は、小栗上野之助などの官僚が、外国(フランス)の資金を使い諸侯を廃して統一政権を創ろうとしていた節があり、それに反対する地方の有力諸侯が連合して対抗しました。それぞれ紆余曲折はありましたが、最終的に長州も薩摩も革新派の若手官僚が実権を握り、それぞれが協力する形で倒幕維新という所まで持っていったのだと思います。

 この維新の志士三世代を簡単に分類すると、以下のようになるでしょう。

第一世代先見的思想家・学者的人物
第二世代体制内弱者による反体制派
第三世代権力を利用した体制内改革派、及びアウトロー

 さて、ここで現在のインターネット業界では、一体上記どの世代にあたる人々が主流となっているのか考えてみたいと思います。日本でインターネットがメジャーになってきたのは、Windows95発売以降の1996年辺りからですが、実は先見的な人々は1980年代からマルチメディアの先にあるものとしてインターネットに着目していました。例えば、慶応大学の村井純教授などが代表例で、この人達が第一世代だと思います。次に第二世代にあたるのが、最近次々とIPOを果たしている、学生ベンチャー系の会社を興した人々でしょう。彼等は既存企業に就職しようとは思わず、自分で会社を興した人々です。ですから、彼等の殆どは企業で正式に働いた経験がありませんし、あってもごく短期間です。これはある意味で体制に順応するのを拒否したと見ることもできます。(勿論だからといって、彼等が社会のドロップアウターだということを意味するものではありません。)他に代表的な人物というと、例の倒産したハイパーネットの板倉雄一郎氏等が挙げられると思います。

 ここまで読んでいただいた方には、もう私が何を言いたいのかお分かりでしょう。日本のインターネット業界に、第三世代の志士は未だ登場しておりません。彼等はこれからやって来るのです。第三世代の人々は、現体制にもきちんと順応できる能力を持っており、それでいてなおかつ、他の力を利用して自分の思うように体制を変革できる能力者です。具体的に言うと、現在企業の第一線で活躍しているビジネスマンが、これから続々とこの業界に参入してきます。彼等はその企業内でも十二分に活躍できるスキルの持ち主ですが、それに飽きたらずに外に出てくるのです。

 私は、日本のインターネット業界は、その様なエース級の人材を得て、初めて変革を興すことが出来るのだと考えています。米国では既に一流の人材がベンチャー企業に雪崩れ込んでいます。彼等は既存企業でもエリートコースに乗れる能力があるため、あえて早々からリスクを犯す必要がありませんでしたが、このインターネット革命が本物だという感触をつかんだ今では、雪崩を打って流入しています。そして最近の米国ベンチャーは、それらの人材によって成り立っているのです。明治維新が第三世代の志士によって完了されたように、インターネット革命も第三世代の人々によって成し遂げられるでしょう。そして、その時に生き残っている企業は、これら第三世代の実力者から成り立っている企業だと思います。ですから弊社においても、これら第三世代の人材を精力的に取り込むことで、これからの変革に備えようと考えています。

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