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2003年5月

2003年5月27日 (火)

時間を味方にするということ

 この5月には、当社の開発スタッフが2人増えて、また一段と賑やかになりました。ちょうど一年程前にこのオフィスに引っ越してきたのですが、その時に比べて人数が倍以上になっています。最初はとても広く感じたオフィスが、現在では結構狭くなってきており、特にミーティングの為の会議室が足りない状況です。「そろそろ本格的に新オフィス探しを開始しなければならないかな。」と考えているこの頃です。

 幸いにしてオフィス市況が悪いおかげで、新オフィスの坪単価は今と同等かそれ以下に出来そうです。不況でモノが売れないのは大変ですが、当社の様にお金の無い(・・・っていつも習慣的に書いてしまいますが、実は今はそれなりにお金あります。)VBにとっては各種リソースが格安で非常に良い環境になっています。バブルの頃は、坪5万とかの単価で保証金が20ヶ月なんていうオフィスが普通にあったそうですが、それでは現在のオフィス(35坪)程度を借りるのに、キャッシュが4000万円くらい必要な計算になりますね(あぁ、もったいない・・・)。現在の状況だと、何せ空室ばっかりですから、その20分の1くらいでいけると思います。

 さて、本題。今回は最近私が感じている、時間を味方にするということについて書いてみます。当社は昨年度からキャッシュフロー(CF)ポジティブに転換していますが、それ以前と以後とでは、私の中の時間の感覚が全く違うものになっています。これを分かり易く例えると、砂時計がひっくり返った感じと表現できると思います。CFネガティブの間は、砂時計の上の方で砂が常にサラサラと流出しているイメージ、それがCFポジティブになるとひっくり返って砂時計が下の方になり、砂がサラサラと流入しているイメージです。ここでいう砂とは手持ち資金のことですが、アーリーステージのVBにおける寿命というのは、即ちキャッシュアウトするまでの時間ですから、次式のように手持ち資金は時間に換価することが出来ます。

残り時間 = 手持ち資金 ÷ 毎月のバーンレート(キャッシュフロー)

 例えば、手持ちの資金が1億円で毎月のバーンレートが1000万円とした場合には、1億円÷1000万円=10ですからキャッシュアウトするまでの残り時間は10ヶ月ということになります。もちろん第三者割当増資等によって、手持ち資金を増額出来れば残り時間も延長されますが、基本的には時間との戦いを強いられている構図になります。この時間との戦いは、全ての意思決定の際に介入してくる厄介なもので、経営者にとっては常に「早く、早く!」と追い立てられている感覚になります。このこと自体は、スピード経営が推奨される昨今において決して悪いことではないのですが、一つ一つの交渉やネゴシエーションを取り出してみると、実は不利な要素になる可能性が高いのです。

 一般的に交渉ごとは、ポジショニングの有利不利が大きく効いてくるものです。例えば価格交渉の場合、基本的に売手は高く売りたく、買手は安く買いたいものですが、最終的な価格は需給のバランスによって決定されます。つまり、売りたい度合いと買いたい度合いがバランスするところで交渉が妥結するということで、およそ市場性があるものについては、全てこのようにして取引が確定されます。この話だけでは、あまりに常識的すぎて「なんだよ」と思ってしまいますが、実はVB経営において重要な資金調達から人材採用、商品の販売や戦略提携まで、非常に多岐に渡って重要な要素になっているのです。人間は、時間が残り少ない時に焦って交渉をすると、どうしても弱気になってしまうもので、ついつい相手の条件に従ってしまいがちです。これが時間がたっぷりある時ですと、余裕を持って交渉することが出来ますし、場合によってはこちらから取引を断ることも視野に入ってきます。これはカード勝負のようなものですが、別に例えるならば、時間を敵に回すか味方にするかの違いだといえると思います。単一の交渉ごとだけでは、この時間の敵味方による有利不利はあまり影響がなさそうですが、経営というものは毎日が交渉や取引の連続ですから、最終的には積もり積もって非常に大きな差が出てくるのです。

 CFの転換点においては、それまでの砂の流出速度がだんだんと遅くなっていき、そして遂には流出が止まり、やがて逆転して砂が流入し始めるようになります。このとき、上の式における残り時間は無限大になります。私の経験では、残り時間が無限大になる感覚の効果は絶大で、それまで時間に追い回されて焦っているようなイメージだったのが、逆に時間が自分の味方についてくれたイメージで、全ての交渉ごとに対して余裕を持って接する事が出来るようになりました。もちろん、だからといってゆっくりと経営しているわけではなく、余裕を持って交渉して素早く意思決定することが可能になったということです。これは不思議な感覚で、CF転換点の前後で会社自体は全然変化していないにも関わらず、その日常の連続性の中で突然全てが逆転するような感覚です。これを「砂時計がひっくり返った感じ」といっているわけです。

 当社は、VBの大きなマイルストーンであるCFポジティブを達成したわけですが、実際に自分で体験してみるまで、これほど大きな違いがあるとは分かりませんでした。「またひとつ勉強になった。」と実感すると同時に、これからは時間を味方につけてどんどん進化して行きたいと考えています。来月の3日に、アドビさんオラクルさんと共同で、AGSに関連するソリューションセミナーを開催することになっていますので、まずはこの辺からがんばっていこうと思います。

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2003年5月12日 (月)

「Alternax® AGS Adapter」の発表

 先日、当社は久々にプレスリリースを出しました。リンクを辿ってご覧頂ければお分かりの通り、今回はAlternax®からアドビシステムズ(以下、アドビ)さんの新製品であるAdobe® Graphics Server2.0の機能を利用できる「AGS Adapter」の発表です。実は同日に、アドビさんの方でAdobe® Graphics Server2.0日本発売のアナウンスを行なっており、そちらのプレスリリースには私のエンドースメント(推薦文)が、そしてこちらのプレスリリースにはアドビ石井社長のエンドースメントが掲載されています。

 前回は、1年半程前の日本オラクルさんとのアライアンスの発表でしたが、今回もこれを契機に、アドビさんと協力してマーケティングを進めていくことになっています。手始めに、6月3日に共同セミナーを実施する予定です。Adobe Graphics Server(以下、AGS)は、昨秋に全世界で発売する旨が発表されました。ちょうどその時に、当社で画像系のコラボレーションシステムをやらせていただく企画があり、その関係でアドビさんにお話をお伺いしたのがこの話の始まりです。

 AGSのメリットは沢山あります(御興味がある方はアドビさんのWebサイトに行ってみて下さい)。その中でも最大の特徴は、サーバシステムから画像編集が可能になる点だろうと思います。これまで、パンフレット、チラシ、リーフレット等の制作といったクリエイティブ業務では、業界標準と言われるAdobe® Photoshop等を、クライアントマシン上で起動して画像編集作業を行なっていました。つまり、スタンドアロン環境での作業を前提としていたのですが、実際のクリエイティブ業務は多くのメンバーによるコラボレーションによって成り立っています。

 例えば広告の場合、企画を立てる、キャッチを考える、進行を管理する、デザインを行なう、印刷を行なう、といった異なる役割の人々が一つのプロジェクト内に存在します。これまでは、業務連絡はメールや電話で行い、制作データはMOに記録してバイク便で送るといったことを行なっていました。しかしながらこの厳しい経済状況の中で、クリエイティブ業界においても顧客から、業務効率の向上、コストの削減、納期の短縮等を強く求められるようになって来ています。製造業や流通業のように、一連のバリューチェーンを効率化する要求が出てきているということです。これらの要求に対して、従来のスタンドアロン環境でしか作業が出来ないという要素は致命的で、それ故にネットワーク環境上での作業によるコラボレーションが注目を集めています。

 Alternax+AGS Adapter+AGSは、まさにこれらを実現するソリューションです。具体的には、下記のようなことが可能となります。

    <基本的な使い方>
  • 画像加工作業をWebブラウザーのみで行なう(Photoshop等は不要)。
  • マスターコンテンツからWeb用、印刷用などの派生物を自動生成する。
  • 過去のコンテンツをキーワードで検索し、別プロジェクトで再利用する。
  • 制作工程管理やコンテンツ授受を安全確実にインターネット上で実現する。
  • ワークフローと組み合わせて、コンテンツの回覧や納品承認を実現する。
  • <応用的な使い方>

  • チラシやリーフ制作といった定型作業において、テンプレート(雛形)に対して画像やテキストをデータベースから流し込み、自動的に制作を行なう。(例:チェーン店チラシで各店舗名や連絡先をデータベースから流し込む等)
  • 大規模プロジェクトにおける各工程管理と文書・コンテンツを一元管理する。(例:店舗開発での設計図面、パンフ、施工等の各工程を一元的に管理等)
 この辺りの詳しい話は、6月3日のセミナーにて御説明する予定ですので、御興味のある方は是非一度足をお運び下さい。私としては、このようなシステム活用によってクリエイティブ業界の定型作業を自動化し、クリエイターの方々がもっと創造性の高い作業に専念できるようになればとても素晴らしいと思います。

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