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2003年6月27日 (金)

ソフトウェア企業の成長曲線と経営方針

6月3日に、当社のパートナーである日本オラクルさんとアドビシステムズさんと共同で、AGSソリューションセミナーを開催しました。当日は大勢の方々にご来場いただきまして、誠にありがとうございました。おかげさまでその後の引き合いもかなりあり、当社のソリューションに対するニーズの強さを確認することができました。今後は、より強力なソリューションを目指して、パートナー各社と協力して展開していこうと考えています。

最近の当社の状況としては、受注が好調に推移しており、技術陣のフル稼働状態が続いています。人も継続的に採用しているのですが、ちょっと需要に対して遅れ気味かもしれません。これは財務的には良いのですが、状況がひどくなると機会損失に繋がるリスクがありますので、なるべく早期に解決したいと思っています。それで、最近少し人材採用を梃入れしているのですが、人数が増えたら増えたで今度は入れ物の方が入らなくなってきてしまいました(^_^;)。こちらの問題解決には大きいオフィスへの引越しが必要な状況です。

この不況下に会社が成長できることは大変ありがたいことですが、実際に渦中にいると忙しくて大変です。私も先週風邪を引いてダウンした余波がまだ残っていたのか、今週は体調があまり良くありませんでした。今日あたりやっと復調してきた感があります。おかげで仕事が溜まってきており、今週末は仕事で潰れてしまいそうです(T_T)。

さて、最近社内で話題になったものに、シリコンバレーで活躍されている梅田望夫氏の「利益が出ている会社がなぜ「生ける屍」なのか」というBlogがありました。このなかの「ソフトウェア・スタートアップはVCから資金調達をすべきか」という命題で、同じくJoel Spolsky氏のBlog「Fixing Venture Capital」が紹介されています。これは当社の現状と重ね合わせて非常に興味深い文章でした。

Spolsky氏はソフトウェア企業の成長ファクターとして、(1)売上、(2)人員、(3)知名度、(4)品質の4つを挙げており、これら4つの成長曲線をシンクロさせることが重要と述べています。これを図に描くとこうなります。

20060403-soft_curve.gif

そして、これら4つのファクターのうちの2つにおいてシンクロ条件が外れてくると、会社に大きな問題が起こると指摘しています。特に、一般的なVCの助言である「スピードアップのためにお金で時間を買う」ということを実践すると、問題3、問題4、問題2が連鎖的に起こると述べています。これらを私なりの理解も合わせて書くとこんな感じです。

問題 結果
1.人員増よりも売上増が速い 顧客の支払いに見合うだけの人的リソースが提供できず、顧客サービスが劣悪になって評価が落ちる。
2.売上増よりも人員増が速い ソフトウェア企業のコストは殆どが人件費なので、バーンレートが大きくなってキャッシュアウトする。
3.品質向上よりも知名度向上が速い 評判だけが先行した結果、製品評価が低くなりがちでブランド信用力が地に落ちる。(Vaporware化)
4.品質向上よりも人員増が速い ソフトウェアは一人のエンジニアが全体の構造設計を行った方が良いものが出来るのに、構造が固まる前に大勢でいじるからロクな構造にならない。

Spolsky氏の主張には非常に共感するところがあります(同じ起業家同士なので当たり前かもしれませんが・・・)。Web企業やASP企業も広義のソフトウェア企業だとすると、確かに日本でもITバブルの時には、このようなことが頻発していました。例えば、会社設立当初より多額の資金調達を行い、TV広告を出しまくった挙句に、1年程度でキャッシュアウトしてしまった某社などが思い出されます。

私としては、この「スピードアップのためにお金で時間を買う」という考え方自体が、株式市場が赤字公開を許容するなど、資金調達が容易な場合にしか通じない戦略(もちろん、ExitとしてM&Aというルートもありますが、日本ではあまり現実的ではありませんので、ここでは除外します。)ではないかと思います。現在の市況では、形式的にはともかく、事実上赤字公開は不可能でしょう。実際に証券会社等にヒアリングする限りでは、当社の業態(ISV)における現状の株式公開基準(新興市場)は、(1)売上高min5億円、(2)直近2期連続黒字、(3)直近2期増収増益、(4)その他会社の状態による、というものらしいのですが、最低限連続黒字が必要だとすれば、それほど先行投資が出来るものではありません。

仮に今、私が「スピードアップのためにお金で時間を買う」ことを実施する場合には、やはり知名度向上(製品紹介セミナー、製品広告出稿、記事執筆等)や人員増(求人広告出稿、採用等)くらいしか思いつきません。このどちらもがコスト増に直結しますから、ある程度売上にシンクロした形でないと赤字になってしまいます。そうなるとSpolsky氏の主張に沿った形で経営する方が良いわけで、ソフトウェア企業にVC資金が必要かどうかはさておき、ある程度軌道に乗ったソフトウェア企業には資金需要が起きにくいということは事実でしょう。

当社は、どちらかと言うとSpolsky氏の主張に近い、コストを意識した経営をしてきましたので、4つの問題のうち2~4まではあまり心配していません。しかしながら、コストセーブばかりを意識してしまうと、逆に問題1に引っかかる可能性が高くなりますので、今後は適度な投資活動を促進させていこうと考えています。こんな感じで、最近はリソース配備をどのように行うかということで色々と考えています。

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