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2004年6月 1日 (火)

イノベーションへの解

 久しぶりに最近読んで感心した本について書いてみます。最近、かの高名なClayton Christensen氏の新刊、『イノベーションへの解』を読んでいます。前作も目からウロコの感がありましたが、この新刊もなかなか素晴らしいと思いました。特に、企業のリソース配分プロセスにおいて、境界条件を顧客と投資家が決めているという指摘、そして、組織としての学習工程を経営者ではなく中間管理職以下のスタッフとその企業のコスト構造が支配しているという指摘は、非常に的確だと思いました。言われてみれば当たり前なので、ある意味でコロンブスの卵ですね。

 また、新規事業にとって良い金と悪い金があり、良い金は「成長は気長に待つが、利益は気短に急かす」タイプであり、悪い金は「成長は気短に急かすが、利益は気長に待つ」タイプであるとする部分にも、非常に共感というか、自分自身の事業経験や現在の実感と符合します。
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十分な成長から不十分な成長へのスパイラル (出所:イノベーションへの解 314頁)

 1年程前に、最初に苦労して良かったと思うことで「資金が不足気味だったために、節約を徹底する風潮が自然に生まれた」と書きましたが、この「節約を徹底する風潮」というのは、そのまま突き詰めていけば「低コストのビジネス構造」に昇華させることが出来ます。実のところ、最初はお金が無かったため、資金が潤沢な他のVBを見て、正直「羨ましい」と思ったこともありました。しかしながら現在では、この資金が潤沢でなかったことが低コストビジネス構造の構築に繋がり、結果として会社の競争力を高めてきたと考えています。自画自賛で、恐縮ですが・・・

 この成果は、最近のコンペにも如実に現れてきており、大手ベンダーさんと競合しても勝つようになってきました。お客様に、「何故当社に決められたのですか?」とお聞きすると、「他の提案よりも機能が豊富で、尚且つ価格が圧倒的に安いから」とお答えいただくことが多いです。つまり、コストパフォーマンスが高いということですが、だからといって、当社が無理して赤字受注しているワケではありません。そんなことをしていたら、この規模の会社は直ぐに潰れます(^_^;)

 コンペで競合するということは、「お客様から見て類似のソリューション」ということです。にも拘らず、コストパフォーマンスに大きな差が出るということは、要するに「ビジネスモデルとコスト構造が異なる会社間で競争している」ということなんですね。これは非常に重要な概念で、VBというモノは、この構造的な違いに基づく競争に持ち込まなければ、絶対に大きく成功しないと思います。

 この成功事例の分かりやすいものとして、ダイレクトモデルで有名なデルが挙げられます。何度も語りつくされたことではありますが、デルがやっていることは、一見するとそれほど難しいものではありません。単純に言えば、中間業者を排除することで在庫を極小化し、得られたコストメリットを価格に転嫁して競争しているだけです。しかしながら、競合者はなかなか上手くキャッチアップ出来ていないようです。詳しくは省きますが、ここにも「構造的な違いに基づく競争」の構図が見受けられます。

 先ほど挙げた1年前のコラムでは、「技術力は差別化の源泉ではない」と書いていたのですが、今振り返ってみると、「当時私が書きたかったことはこのことだったんだな」と思います。というわけで、新規事業を目指す方々は、是非ともこの本を一読するようにお薦めします。たぶん、読むだけではなかなか実感出来ないと思いますが、これに自身の経験を重ねて考察していけば、きっと「次代のデル」を構築するチャンスにめぐり合うような気がします。当社もまだまだ発展途上ですが、少しずつにせよ、この「構造的な違いに基づく競争」に持ち込んで、大きく成功させたいと考えています。

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コメント

この本は私にも影響を与えました。ベンチャーに勝機ありということを実致しました。私は起業3年目ですが、まさに、今、市場で実践し、学習している最中です。

ビー・テクノロジー
堀米 毅

投稿: 堀米 毅 | 2006年4月 3日 (月) 21時19分

堀米様

コメントありがとうございます。
ベンチャーは辛い時も多いですが、それ以上に面白いと思います。
お互いにがんばりましょう。

投稿: miyoshi | 2006年4月 3日 (月) 21時22分

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