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2005年8月29日 (月)

起業して分かったこと その1

 先週の水曜日に、私の母校である東京農工大学MOTコースで当社を起業した経験について話をしてきました。時間が質疑応答込みで2時間程度でしたので、話としてはある程度表面的なものになってしまいましたが、主題として「お金の感覚と取り扱い」というテーマに絞った結果、それなりに分かりやすい話にはなったと思います。実は今日も、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科で出版されているBizComというNews Letterに取材を受けたのですが、先方がMBAということもあって、やはり同様にお金の話をすることになりました。

 農工大のプレゼン資料は、起業を志す技術系の学生に伝えたい「起業して分かったこと」というコンセプトで、これまでの講演などからかき集めたPPTで作りました。せっかくまとめた資料ですので、本来ならそのままBlog上で公開した方が良いのかもしれませんが、あまり広く公開したくない情報も混じっていますので、今回から何回かに分割して概略説明のみ記すことにします。

経営者の仕事は営業(と雑用)である
 技術系VBの場合、一番難しい部分は実際にお金を払ってもらえる顧客を見つけ出すところだと思います。また、創業直後は少人数ですべてをこなさなければならないため、いきおい社長が雑用をこなす事になります。特にエンジニアが主戦力であるアーリーステージにおいては、彼らの全能力を生産行為に当てるため、残ったスタッフ系人材(当社の場合は私)がその他の雑用を賄うことが重要です。最初から社長がふんぞり返っているような会社は大変でしょうね。

ケチケチ戦略で早いうちから低コストの事業構造を構築しよう
 これは以前にも書きましたが、キャッシュフロー(以下、CF)がポジティブとネガティブでは、会社の運営上雲泥の差があります。VBの場合、事業の立ち上げ段階で売上計画が予定通りに進捗することは稀ですので、CFをコントロールするためには出費を削減する以外にはありません。現在上場している先輩VBにおいても、成功している企業の創業期にはケチケチだったとよく聞きます。創業段階でケチケチ文化を育成できないとなかなかCFが転換しませんし、大きくなっても浪費癖が抜けない儲からない会社になると思います。

焦って成長を急ぎすぎず、まず利益を志向せよ
 これもケチケチ戦略と同様ですが、こちらは一部マーケティングにも踏み込んでいます。まず、多くのVBはマーケットニッチから入ることが多いと思いますが、その段階でいきなりビジネス的金脈を掘り当てることは非常に難しく、市場からは最初に自社製品やサービスにネガティブな反応を得ることが殆どでしょう。このような市場のニーズが十分に開拓されていない段階で、広告やセミナーなどのマーケティングコストに多額を費やすと、その投資回収に苦労することになります。当社の経験からも、この段階ではコストを抑えつつ地道に顧客を増やすことが重要で、ある程度市場が開拓されてきて、尚且つ自社に資金的な余裕が出来てからマーケティングに投資すべきと思います。

高度な技術力が差別化の源泉であるとは限らない
 これは特に技術系の学生さんに言いたかったことでして、エンジニアはどうしても「強力な技術力があれば、ビジネス的にも差別化できる」と考えがちですが、情報の伝達速度が加速化し、複製コストも低減化された現在では、これは大きな間違いだと思います。最近世間を騒がしているM&Aなどを考えれば分かるとおり、技術のみならず会社も売買することが出来ます。また、自動車や家電などの大手メーカー間ではクロスパテントが当たり前になっており、特定のニッチ領域で尖った技術を保持していても、簡単に回避(もしくは相殺)できる世の中になってきました。今は「マネできない技術を持つ」ではなく、「マネされても負けないビジネスを持つ」という状況になっていると思います。

 今回はここまでにしておきます。

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