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2006年8月

2006年8月15日 (火)

ミクシィ上場とWeb2.0のビジネス化

 GoogleとMySpaceの提携発表と時を同じくして、以前から噂されていた通り、国内SNSの雄であるミクシィの上場が発表された。上場時時価総額2000億円(某VC関係者談)とも噂される案件なので、早速公開目論見書を取り寄せて読み込んでみた。

 まず、意外に思ったのは直前期(2006年3月期)売上高18億円の内、2/3の12億円程度が従来からのメインビジネスであるFindjob事業から生み出されていることである。mixi事業の寄与部分は残り1/3の6億円程度でしかない。また、Findjob事業の売上高が直前前期(2005年3月期)から急激に伸びているが、これはmixiの拡大時期と同期しているように見える。mixi事業のブランド力が本業の集客力に繋がったのかどうかは書類上不明だが、少なくともコンシューマが絡む転職サイトビジネスにおいて、知名度向上が有効に作用したであろう事は想像に難くない。

 細かい数字は割愛するが、流動比率やROEから見ても非常に優良な企業であることは間違いない。特に利益率の高さは特筆モノで、営業利益率で50%程度もある。逆に利益率が高すぎて租税負担が重く、企業規模に比較してかなりのキャッシュリッチとはいえ、大規模な投資は中々難しそうである。もしかしたら、その辺りがIPOで資金調達しようとする理由の一つかもしれない。

 興味深いのは売掛金の項目で、上位から
  ①DAC
  ②サイバーエージェント
  ③CCI
  ④GMOペイメントゲートウェイ
  ⑤セプテーニ
となっており、④意外は全てメディアレップ(広告代理店)である。

 ミクシィ社の事業構成から考えて、Findjob事業の売掛金は顧客が求人企業で且つ、概ね小口と想定されることから、「その他」項目の19,000万円がFindjob事業の売掛金であろう。そうなると、必然的に残り4社(①、②、③、⑤)の売掛金がmixi事業のものとなる。レップの売掛金滞留期間がどれくらいかは良く分からないのだが、2ヶ月程度と仮定すると、4社の売掛金合計額が13,000万円であるため、月平均の広告収入は6,500万円となり、年換算して78,000万円/年となる。また同様に、④は有償サービスの決済代行業者と考えられるので、同様に2ヶ月で計算すると900万円/月と推定され、年換算して10,800万円/年となる。これをどう見るかは人それぞれだが、私個人としては「意外に少ないな」というのが実感である。

 米国のNo.1SNSであるMySpaceの場合、ユーザ数が約1億人で広告収入が35億円程度と言われているので、単純計算するとユーザ一人あたり広告収入は35円/ユーザとなる。これをmixiの500万ユーザに換算した場合17,500万円の売上となるので、MySpaceに比べるとmixiはPVの収益化が上手く行っている方なのかもしれない。ちなみに、前述のmixiの推定値をMySpaceに当てはめた場合の広告収入は、単純に20倍すれば良いので156億円程度が見込まれる。

 ここまで考えてみると、下記の引用文もあながち的外れではないことが良く分かる。

"それにしても、GoogleがMySpaceに対して払う額(2007年から2010年にかけて$900M=約1000億円)は破格である。これでNews CorpがMySpaceの買収に使った$580M(600億円強)が無駄ではなかったことを証明できただけでなく、「広告スペースを売る」ことに長けたメディア会社が真剣に取り組めばWeb2.0的なビジネスからもきちんと収入を上げられることを証明したことは価値がある。"
CNET Japan Blog - 中島聡・ネット時代のデジタルライフスタイル

 それにしても、ユーザ数1億人のMySpaceが時価総額600億円程度で、規模からするとその1/20であるミクシィの時価総額が2000億円と予想されているのは、いったいどのように解釈すれば良いのだろうか? バブルと切り捨てるのは簡単だが、楽天にせよ、ライブドアにせよ、皆IPOで調達した資金を利用して大きくなって来た企業である。今回の調達資金をミクシィがどのように利用するのかは分からないが、使い方次第で業界が大きく変わる可能性を秘めているのは間違い無いだろう。

【追記】
 現在の予想株価では、ミクシィの上場時時価総額は1000億円程度とのこと。

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2006年8月 9日 (水)

WebOS再び

"DesktopTwoは、パワフルで新しいウェブベースのコンピューティングサービスで、よくデザインされた機能のリストが全て無料で提供される。ニューヨークとメキシコのTolucaに拠点を置くSapotekという会社によって開発された。"
TechCrunch Japanese アーカイブ DesktopTwo、パワフルなウェブデスクトップを無料提供

 2001年の春ごろ、まだAJAXなど全く存在しなかった時代にWebOSというサービスが存在した。当時創業したばかりだった当社で、その構想の大きさとバカバカしくも実際に開発してしまったそのパワーが非常に話題になった記憶がある。

 但し、企画自体は大変興味深く、一部のVCからは注目を集めていたようであったが、結局最終的にそのサービスはビジネスとして上手く行かなかったようだ。

 ところが、その5年後の現在、またぞろ同じようなサービスが注目されているとの事。今度こそは上手く行くのか、それとも今度もやはり駄目なのか、いずれにせよ暫く注目していきたいところだ。

DesktopTwo

【追記】
ちょっと調べたらWebOSの残骸を発見。既にWebサイト(http://www.MyWebOS.com)はなくなっているが、スクリーンショットを発見したので上げておく。

20060810-webos_old.jpg

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非Webのマッシュアップ

 マッシュアップというとWebに目が行きがちだが、これは「Webではないマッシュアップ」と言えると思う。

"たとえば、グルメ番組で紹介された店舗の住所、緯度経度、駐車場の有無、メニュー、営業時間などを調査したり、情報番組内で出演者が使用した商品の正式名称、販売価格、販売店といった情報を付加する。テレビで紹介された企業の露出時間、露出内容なども記録する。"
ビーマップなど3社、企業向けにテレビ放送内容の2次調査サービスを開始 - CNET Japan

 「はてな」は人力検索からスタートしたが、これは言うならば人力ログ(動画マイニングとは考えにくいし)といったところか? 米Googleが密かに動画トラッキングの仕組を開発していると噂されているが、案外人力の方が良いことが多いかもしれない。この辺は日米の考え方の違いが出そうで非常に興味深い。

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マーケティング戦略の転換

 当社はこれまで、主に大企業向けに高額製品を販売する戦略を取って来ているのだが、今後ソフトウェアのサービス化(SaaS対応など)を考慮した場合、レベニューモデルが異なるため、以下に指摘されているようにマーケティング戦略(それ程しっかりしているワケではないが)を再構築する必要が出てきている。

"ロングテール的マーケティング戦略の主なポイントは下記の通りです。 1、少顧客数大案件規模→多顧客数小案件規模への営業思考の変化 2、顧客価値を元にしたマーケティング戦略の立案 3、製品にパートナーが付加価値を加えやすいインターフェースの開発 4、顧客に近いパートナーとの関係強化  このロングテール的マーケティング戦略は、よくあるチャネルの中抜きではありません。顧客価値という視点でサービスビジネス戦略を構築したうえで、顧客価値を共同で提供可能な企業とパートナリングを行うという発想です。"
CNET Japan Blog - 坂本健太郎のIT業界マーケティング活用術

 これは、言うのは簡単だが実行することが非常に難しいテーマである。

 先日、OBCさんとアタックスさんとで合弁設立したアフォードは、社内的にはこの試みの一つだと捉えられており、当社としては項目4を軸としてこのテーマに挑もうと考えていることになる。

 当然、単にマーケティングを変換するだけということではなく、対応する製品なりサービスなりもこれらにターゲットを合わせて再設計することが必要で、当社でも次世代Alternaxの開発と並行する形で進めている。どちらかというと業態転換に近いため、難易度はかなり高いのだが、一方でもう一度起業しているような面白さも感じており、「痛気持ちいい」感覚で進めている。

 漸くアウトプットが出始める時期まで来ているので、もう少し捻って、より魅力的なビジネスとして世に出していこうと考えている。

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2006年8月 4日 (金)

バッシングが起こる本当の理由は?

 昨日から世間及びネット業界を騒がせている亀田選手の試合結果だが、正直に言ってそれ程大騒ぎするほど「疑惑の判定」でもないと感じている。

 当日はいつもの通り仕事をしていたので、リアルタイムでは試合を見ておらず(ちょっとだけ社員保有の携帯ワンセグを見たが)、先に試合結果とネットでの風評を知ることとなった。

 帰宅途中の電車の中で、いつものように京ポンから2ちゃんの芸スポ板を覗いて見ると、すごい勢いでスレが消費されているので驚いた。詳細を見ようとしたらどれも「人大杉」で見れなかったのだが、スレッド名だけで判断すると、どうやら非常に不可解な判定で亀田選手が勝ったらしいということが分かった。しょうがないので他のブログとかを見ていたのだが、八百長とか書いているサイトがあるわあるわ。「こいつは非常に期待できる( ̄ー ̄)ニヤリッ 」、ちょっと天邪鬼な私はそう思って帰路を急いだ。

 翌朝6:50の新幹線で大阪出張だったので、本来ならば早く寝なくてはいけないところだが、帰宅して食事を済ませてから、HDDに録画しておいた試合中継をワクワクして見てしまった。ところがである・・・

ヲイヲイ、亀田選手は普通に強いではないか!

 1ラウンドこそ出会い頭のダウンを喫したものの、中盤はかなりポイントを稼いでいる印象であった。特に右のボディは非常に的確で相手にも効いていたし、その他のパンチも急所を的確に捉えており、攻撃面ではかなり上手い(チャンピオンに言う言葉ではないが)ように思われた。一方、ディフェンス面は、パンチを上手く避ける動きはあまり見られず、「上手い」と思うシーンは少なかったが、ガードが非常に固く、2ラウンド以降はクリーンヒットがあまり無かったように見えた。(まあ、ジョーを打ち抜かれることについては、初回のダウン以降警戒していたのだろう。中盤以降最終ラウンドまではガードが高かった。)

 終盤にスタミナが切れたのは恐らく減量のせいかと思われる。但し、あそこで強がって無謀な勝負に行かず、老獪にもクリンチで凌いだのは素晴らしい判断で、試合を大きく左右するファクターだったように感じられた。

 試合結果については微妙なところだが、個人的な感想ではどちらが勝ってもおかしくないレベルであったし、結果的にホームタウンディシジョンであったとしても、「疑惑」と連呼されるほどの問題ではないように感じた。週刊誌などに書かれている、放送のされ方や取り巻きの方々の問題はともかくとして、ボクシングの試合としてみる限りそれ程逸脱した内容ではなかったのではないだろうか。

 であるならば、どうしてこれ程バッシングされるのであろうか。恐らく試合そのものよりも、「その周辺の事情について各方面の思惑が交錯している」というのが真実なのではないだろうか。一歩引いて俯瞰してみると良く分かるように思う。

 ちなみに、格闘技で12ラウンド戦うということは、生半可な練習ではとても達成できないことだというのは書いておきたい。自分の経験に照らしてみても、普通の人は1分間戦えるかどうかというのが現実で、3分1ラウンド戦い続けるにも普通は訓練が必要なのだ。K-1などの試合では通常3分3ラウンド(若しくは5ラウンド)であるが、ボクシングに比較して短い時間にも関わらず、終盤にスタミナ切れの選手が見られるのは、それだけハードな動きをしているということである。この点だけ見ても、少なくとも彼が真面目に練習していることだけは間違いない。

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