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2007年2月

2007年2月23日 (金)

「Google Apps Premier Edition」で対MS戦略が鮮明に

 Googleが遂に企業向けSaaS市場に本格参入を決めたようだ。この度サービスインした「Google Apps」は、従来どおり広告が付く無償版と、サブスクリプションベースで企業に課金する有償版の2つのサービスを持っているとのこと。

"Googleは米国時間2月22日、サブスクリプションベースの業務用ホスティングサービス「Google Apps」を公開する予定だ。サブスクリプションベースの同サービスでは、広告が掲載される無償版に比べ、ストレージ容量が増えてカスタマーサポートも充実されている。Google Apps製品は、「Google Apps for Your Domain」とかつて呼ばれていたが、オンラインのワードプロセッサおよび表計算アプリケーションである「Google Docs & Spreadsheets」を現在では含んでいる。「BlackBerry」デバイスでの「Gmail」がサポートされる予定だ。"
グーグル、サブスクリプションベース「Google Apps Premier Edition」を公開へ - CNET Japan

 私も業務面のサポートツールとしてG-Mailを利用している口だが、広告は特に気にならないので、正直に言って有償版を申し込もうとは思わない。但し、現在はあまり大したことが出来ないこれらのアプリも、時間とともに成熟し、いずれはMS Officeに十分対抗できるような製品になっていくだろうことは想像に難くない。そのときに世の企業はこれまでどおりMSに高いコストを支払ってOfficeを買うだろうか?

 個人的には、流れは完全にGoogleの方にあると思っている。

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2007年2月21日 (水)

「予想外」なワンセグの成功は何をもたらすか?

 サービスイン時には今一つ感が拭えなかったワンセグだが、ここに来て尻上がりに盛り上がってきている。携帯に関して言えば、今一番勢いのあるauの春モデルは10機種中7機種がワンセグ対応モデルとなったのに加え、ちょと出遅れ感があるドコモは、早々と2007年冬モデルの全機種ワンセグ対応を発表している。また、PCに関しても、当初期待された12セグのデジタルチューナー付モデルが、価格の高さからかそれほどブレイクしていないのに対して、USB接続のワンセグチューナーは昨年のスマッシュヒット商品となった。

 この「予想外なワンセグの成功」に対して、総務省も法改正で側面支援を決めたようだ。

"総務省が今国会中にも提出する、放送法改正案の概要が明らかになった。改正案では、携帯電話向け地上デジタル放送(ワンセグ)の専用番組の放送解禁が盛り込まれる予定だ。  現行法では、ワンセグ放送は、一般のテレビ向けと同じ番組の放送しかできない。改正後は、ワンセグ向けの番組の放送が可能になり、需要の高い短時間の番組や、ショッピング番組などが開始される見込みだ。"
放送法改正案:ワンセグ専用番組解禁へ - CNET Japan

 これに呼応する形で、早速auが動きを見せている。

携帯電話向け有料多チャンネル放送の市場性に関する調査結果について

放送通信連携型テレビ通販サービスの提供について
~テレビ通販番組と「au Shopping Mall」が連携したFMBCの実現に向けたトライアルの実施~

 携帯は既に課金インフラが整っている分だけ、ショッピングや有料放送などがテレビよりも導入しやすい状況にあり、この勢いで対応機種が増え続ければ、利用人口ベースで現行テレビと同規模の市場が早期に誕生する可能性も高い。

 また、ニンテンドーDSの登場によってゲーム業界が激変しているように、もしかしたらワンセグによってテレビ業界が激変するかもしれない。当社も番宣組でテレビ業界に関わっていることもあり、これらの動きには今後とも注目していきたいと思う。

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2007年2月 8日 (木)

「PC-SUCCESS」破綻にみるPCショップの経営リスク(おまけ)

 ついでにちょっと蛇足を。ある人から聞いたことだが、この手の激安PCショップが資金繰りに詰まるきっかけには、「アンダーグラウンドなバッタ屋」の存在があるそうだ。

 「アンダーグラウンドなバッタ屋」とは、主に倒産や夜逃げをしたPCショップや問屋の横流し品を専門に扱う業者のことで、格安で仕入れたブツを手広く売り捌くらしい。何せ真っ当な流通ルートを経由していないブツである。仕入れる側のショップにしてみればとにかく激安らしく、セールの目玉商品などを目当てに大量に仕入れることが結構あるそうだ。ところが結果的にこれが大きな落とし穴になってしまうのだ。

 確かに仕入れ値は激安なので、セールの目玉として格安価格で販売しても売れれば利益は大きい。但し、この手のバッタ屋からの仕入れは「全て現金」が基本である。大きな差益を狙って大量に仕入れるためには、ただでさえ苦しい資金繰りを悪化させて現金払いをしなければならない。堅実な経営者ならば、いくら売れれば大きな利益が出るといっても、キャッシュポジションを落とすリスクを犯してまで、バッタ品を仕入れようとは思わないだろう。

 しかしながら、経営が傾きかけている経営者はちょっと違う。一発逆転の夢を見て、バッタ品を大量仕入れしてしまうことがあるのだ。私も含めてだが、経営者という仕事は常に自分の決断に自信を持ていなければやっていられない職業である。当然、自分がコレと睨んだ(コストパフォーマンスが高い)良い商品であるから、大量に仕入れてもすぐに捌けると思ってしまう。ショップの基本は現金売りなので、「ちょっとぐらいキャッシュポジションが下がっても、ブツを店頭で売り切ればすぐに現金は取り返せる。」となり、魔が差してしまう。

 もちろん、経営者の狙い通りにブツがサクサクと捌ければ何の問題もない。一旦下がったキャッシュポジションは、直ぐに元の位置よりも(利益の分だけ)少し上まで戻るだろう。ところが、世の中は往々にして賽の目が逆に出るものだ。経営者が自信満々で仕入れたブツがさっぱり売れないこともままある。そうなると、大きく利益を稼いで一発逆転となるはずだったブツが、ただの不良在庫と化してしまう。また、ブツを仕入れる相手は「アンダーグラウンドなバッタ屋」である。中には取り込み詐欺的に問題があるブツを混ぜ込んでいたり、金だけ持って逃げるような輩もいる。

 そんなこんなで一旦目論見が外れると、後は資金繰りがますます苦しくなって沈んでゆくお定まりのコースに突入することになる。私が聞いた人によると、結構大きく育ったショップでも、こんな何気ない取引一つで黒字倒産してしまうそうだ。資金繰りには細心の注意が必要なのはもちろんだが、明日は我が身と思うと単純に経営者を責めることも出来ない。やはり経営とは難儀なものである。

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2007年2月 5日 (月)

「PC-SUCCESS」破綻にみるPCショップの経営リスク

 本当は金曜日に書こうと考えていたのだが、ちょっと色々と忙しく、既に時期を逸した感のある今日になってしまった。

 価格.comの激安ランキングでお馴染みのオンラインショップ、PC-SUCCESSが1月31日に突然破綻したそうだ。負債総額は約30億円とのこと。同社には当日午後から取引先ら債権者が詰め掛け、その模様が逐次ITmediaなどによってレポートされていた。

 負債総額30億円というとそれなりに大きい金額なので、場合によっては問屋などにも連鎖倒産が及ぶ可能性もある。また、ちょうどWindows Vista発売のタイミングで飛んでいるので、エンドユーザの中には代金先払いでPCを購入していた方もいるだろう。2chの書き込みには、「58万円の液晶テレビBRAVIAを購入してしまった」というのも見受けられたが、被害にあった方はお気の毒と言うほかない。

 ところで、少し前のフリーウェイといい、(名前は出さないが)その他諸々といい、どうしてPCショップは調子が良さげに見えて突然破綻するのだろうか? 今回は(ちょっとだけ)社長ブログらしく、経営的な観点から見てみよう。

 突然の破綻、その秘密は過小資本とそれに付随する自転車操業にある。以下の引用文を見てみよう。

"サクセスは、主にコンピュータ周辺機器の販売を目的として1999年に設立され、“激安ショップ”としてオンライン販売および店頭販売を行っていた。2005年10月期には、年売上高が約180億5500万円、商品点数が35万点内外、月間利用者数が400万人を超える規模にまで成長していた。"
「PC-SUCCESS」運営のサクセス、自己破産申請へ - CNET Japan

 次に過去の事例として、フリーウェイを挙げてみる。

"フリーウェイは1988年8月に設立。東京のほか大阪や福岡など全国9店のショップでパソコンや周辺機器などを販売している。パソコン需要の高まりに乗って、97年度には366億円の売り上げを計上したが、その後価格競争の激化などによって業績は下降していた。同社の資本金は4000万円。社長は石垣俊和氏。従業員数は210人。"
- nikkeibp.jp - 過去記事

 売上といい、資本金といい、従業員数といい、非常に良く似た規模の段階で破綻している。ちなみに、引用文では記載されていないが、サクセスの会社概要(抜粋)は以下のとおり。

 会社名   :株式会社サクセス
 会社設立  :1999年8月2日
 資本金   :1億9996万2500円
 売上高   :206億4627万1千円(第7期)
 従業員数  :105名(2005年12月現在)

 また、Webで情報収集したところ、BSなどについてもTDBベースのデータを発見できた。それによると、2005年10月期末時点での自己資本比率は約7%、総資産は45億円程度であったらしい(但し、あくまでも伝聞であり、内容は保証できない)。

 ここでは、店舗等の固定資産を持たず、基本的に掛売りが少ない(ハズの)オンラインショップの総資産が、45億円(売上の約23%)というところが気になる。恐らく、その内のかなりの部分が在庫ではないだろうか。

 現にサクセスに関しては、NEC販売特約店国内首位のダイワボウ情報システム株式会社(東証1部)が、早速「債権の取立不能または取立遅延のおそれに関するお知らせ」を公開している。

"今般、当社の取引先である株式会社サクセスの代理人弁護士より、平成19年2月1日付で東京地方裁判所に破産手続開始の申立てを行ったとの連絡があったことに伴い、下記のとおり同社に対する債権について、取立不能または取立遅延のおそれが生じましたので、お知らせいたします。"
ダイワボウ情報システム:ニュースリリース > 2007 > 債権の取立不能または取立遅延のおそれに関するお知らせ

 ダイワボウ情報システム1社で売掛が7億円もあるのは驚きだが、それよりこの財務内容で良くそのレベルの与信が通ったものだと思う。

 いずれにせよ、この買掛金規模と株主資本の額から考えると流動比率はかなり低めに推移していたはずであり、何からのトラブルにより与信が滞ると即座に飛ぶ、典型的な自転車操業状態であったことが分かる。

 これらの状況を考え合わせると、PCショップ全般に構造的な財務上の問題があり、ある程度規模が大きくなったショップは、その資金繰りで飛ぶ可能性が高いことが予想される。今回の一件は、恐らく価格.comの信用には何らかの影響を与えるだろう。情報システム業界全体の信用が揺らいでいる現状で、某社のように後からヤバイ話が出てこなければ良いのだが・・・

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