« 首都圏の若い男性は、新聞を読まずに通勤中に携帯電話で情報収集 | トップページ | WebOS再び その2 »

2007年4月 3日 (火)

「日本社会で起業するため本当に必要な9つのモノ」に対する実感

 なんか、各所でGIGAZINEさんのところのエントリーに対する反応が広がっているので、こちらも釣られてみる。とりあえず、自分が一介のサラリーマンエンジニアから自分で起業して、まがりなりにも7年間経営してきた経験から理解した(と思った)ことを書いてみよう。尚、文中でGIGAZINEさんと異なる意見を述べているが、決して批判しているつもりはないのでご了承いただきたい。また、GIGAZINEさんと違って特に学生さんを意識はしていない。

"ホリエモンによっておそらく本格的に火がついたというか、注目されてきた就職以外の「起業」という選択について、大いなる誤解が跋扈しているので警鐘の意味を込め、どちらかというと学生向けに書いていきます。なので、実際に起業したいと考えている人にとっては不愉快きわまりない超ネガティブなものになっていることを最初に注意しておきます。ですが、これがおそらく日本における真実です。"

日本社会で起業するため本当に必要な9つのモノ - GIGAZINE

~目次~
■ブルーオーシャンは結果論
■誰でも最初はニッチ市場
■会社が何年続くのかなんて誰にも分からない
■市場があれば誰かが引き継ぐ
■代表取締役とCEOと社長と営業と雑用係は自分
■バーンレート計算ができるかできないか
■利益が出ないロジックは正しくない
■世の中には赤字会社がたくさんあるという現実
■チャレンジしない人間は挫折すらできない
■あなたが起業するために必要なモノ

■ブルーオーシャンは結果論
 「ブルーオーシャン」というものは目に見えない。もし目に見えるならば、たちまち競合者達が参集してレッドオーシャンと化すだろう。言い換えるならば無人島と同じである。もし、何らかの利用価値が見出されていれば、誰も住んでいない島になるはずがない。住んでも良いことがなさそうだからこその無人島であり、交通不便な場所なのである。

 ところが、ここに何処かの物好きがやってきて穴を掘り始め、間違って金でも掘り当てると話が変わってくる。カリフォルニアのゴールドラッシュと同様に、山師が集まり、山師相手の宿屋と飲み屋が繁盛し、交通網が整備されて大きな街に成長するのだ。

 ここで重要なのは、最初の物好きになるべきか、ならざるべきかということだろう。無人島で一生懸命穴を掘ったからといって、金が出る保障など何も無い。万が一、何かが出たとしても、大抵は塩水あたりが関の山だし、温泉でも出れば御の字というのが世間の常識である。但し、確率的には低いが金を超える石油が出ることも考えられなくはない。「ブルーオーシャン」戦略というのは、間違って石油が出た後でコンサルタントが表現する言葉なのである。こんなバズワードに騙されてはいけない。

■誰でも最初はニッチ市場
 巨大企業の戦略子会社でもない限り、通常の新規参入者はリソースに限りがある中で戦わざるを得ない。当然、市場のカバレッジが低い中で生き残るために、ニッチ市場を志向することになる。投資家受けを考慮して、そのニッチ市場を指してロングテール戦略と表現することは別に構わないだろう。むしろ、ちょっと賢い部類ではないだろうか。

■会社が何年続くのかなんて誰にも分からない
 「100年後もあなたの会社は存在しているのですか、そのときその会社は何をする企業になっているのですか?」という質問に対して、本気で具体的に答える奴はちょとどうかと思ってしまう。5年先も分からない世の中で、100年先まで具体的にプランニングすることは時間の無駄でしかない。1年持つかどうか分からないアーリーステージでは、計画は3年分あれば十分である。

 ちなみに、GIGAZINEさんには悪いが、この質問は矛盾していると思う。後段で、所有と経営の分離について説いているのだから、100年後も「自分の会社」という認識では問題なのではないか。

■市場があれば誰かが引き継ぐ
 経営者が何らかの理由で退場した場合、それが社内の人間かどうかは別として、市場と商品があれば何処かの商売人が引き継ぐのが普通である。もし引き継ぐ人間が居ない場合、それはその商品の市場があったのではなく、経営者個人が商品だったというケースが多い。

 特定個人が商品だった場合には、例え保険を掛けていても、事故が起こった時点で商品がなくなるので商売も終わりである。電車や飛行機に乗らないとか、保険を掛けるとかは、本質的なヘッジになっていない。本来的には属人性を廃して、パブリックカンパニーになることが解決策だろう。

■代表取締役とCEOと社長と営業と雑用係は自分
 起業当時は、むしろ後半の役職の方が重要である。特に営業に関しては、その道のプロが創業メンバーに居ない場合は、社長の最重要任務と言っても過言ではない。ここがクリアできないと遅かれ早かれ潰れるので、この段階で呼称や分業など考える必要は全く無い。

 ちなみに、本稿が「日本社会で起業するため」と銘打っていることを勘案すると、「経営のプロを連れて来る」というのは、限りなくナンセンスである。そもそも自分の親族でもない限り、トラックレコードも無い起業家を支援してくれる「経営のプロ」など居るわけも無く、結局ブートストラップである段階まで自分で引き上げるしかないのである。

■キャッシュフロー計算ができるかできないか
 小規模企業の悲劇の多くは、キャッシュフローの目算を誤ることにある。起業家が陥りやすい過ちもまたこれである。良くあるケースとしては、P/L予測のみでB/Sを考えていない事業計画書であり、B/S抜きにキャッシュフロー計算は出来ないので、一発で投資家に底の浅さを見抜かれやすい(まあ、自分も最初そうだったが・・・)。

 起業指南書などでよく言われるバーンレート(燃焼効率)というのは、「会社の保有現金が尽きるまでどのくらいの時間があるか?」というパラメータで、これも一種のキャッシュフロー計算だ。足し算、引き算、掛け算、割り算、何でも良いのだが、現金に強くないと、どんなに一生懸命計算をしても机上の空論で終わるのである。

■利益が出ないロジックは正しくない
これは逆説である。「ロジックが正しくても利益は出ない」のではなく、「利益が出ないロジックは正しくない」のだ。ビジネスというものは、最終的に金銭で帳尻が合うように出来ている。よって、考え方が正しいのに計算が合わないというのは現実を直視していないだけであり、もし、最終的な帳尻が計画と合わないのであれば、計画の方を修正しなければならない。

■生業はたくさんあるがベンチャーは少ないという現実
 生業とベンチャー企業はその目的が全く異なる。世の中に会社はごまんとあるが、所謂ベンチャー企業というものは一握りである。もし、あなたが生業ではなくベンチャー企業を起こそうと考えているのであれば、その殆どが生業に属する企業なので世間の他の会社のことは忘れた方が良い。企業は生ものなので、根本的にカテゴリーが異なる企業の経営戦略はあまり参考にならないことが多いのだ。むしろ正反対と言っても良い。

 生業vsベンチャーで例を挙げると、

  • 給与:家族の総収入を重視⇔なるべく会社に利益を残す
  • 経費:損金算入の限界まで活用⇔経費は限界まで削減
  • 資本:100%自分資本を堅持⇔VC資金を有効活用

という感じに異なるのである。

■チャレンジしない人間は挫折すらできない
 人にはそれぞれ能力差がある。これは厳然とした事実である。しかしながら、人間の特徴は、学習によって能力を向上させることが出来る部分であることも、また事実である。

 問題は、挫折をするためには現状のキャパシティーを超えるチャレンジをしなければならないことだ。キャパシティを超えるチャレンジなので、当然に失敗が多く生まれる。変に賢い人は、自らのキャパシティをキチンと把握し、予め失敗を予見できるのでチャレンジそのものを回避してしまうのだが、これでは学習能力が働かない。

 自分の廻りを見ても、起業してまがりなりにも何とかやっている人物の多くは、「懲りないなぁ」というくらいに失敗し、そして学習している。但し、その失敗を決して致命的な大きさにはしない。どうも、大胆且つ小心という相矛盾した性質が必要な様である。

■あなたが起業するために必要なモノ
 学問と異なり、ビジネスに正解はない。先にも述べた通り、全てが結果論である。例え私が書いていることと異なる行動をしても、結果的にビジネスが成功すればそれが正しいのである。一見矛盾しているようだが、個人的にはこれを理解したうえで、先人の知恵を吸収できるかどうかが非常に大きいと考えている。

 自分で書いていて、「きっとこれを読んでも何のことか分からないだろう」と思ったが、とりあえず自分の実感を書いてみた。本当のところを言うと、起業に成功するタイプの人はこんなエントリーを読んだりしないのだが、最初にそう書くと誰も読んでくれないので最後に書いてみた。皆さんごめんなさい。

|

« 首都圏の若い男性は、新聞を読まずに通勤中に携帯電話で情報収集 | トップページ | WebOS再び その2 »

ベンチャー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1100243/23661290

この記事へのトラックバック一覧です: 「日本社会で起業するため本当に必要な9つのモノ」に対する実感:

« 首都圏の若い男性は、新聞を読まずに通勤中に携帯電話で情報収集 | トップページ | WebOS再び その2 »