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2009年6月

2009年6月 3日 (水)

江島さんの失敗に思う

LingrとRejawが5月末をもってサービス終了で、インフォテリアUSAは会社精算、江島さんは(恐らくインフォテリアを離れて)USに残留する予定なのだという。

5月末をもって、LingrRejawの両サービスをシャットダウンすることになりました。いずれのサービスも、すでに新規サインアップは受付停止済み、5月15日までユーザデータのダウンロード依頼を受け付け、5月16日からは新規発言ができなくなり、5月末の完全停止までの間にデータをダウンロードしていただく段取りになります。

LingrとRejawサービス終了のお知らせ

ご自身で失敗要因の分析をされておられ、US事情など中々に興味深いところもあるのですが、私が読む限りでは「最初から失敗コースを進んでいたのではないか?」と感じます。

自分自身がこれまで会社を経営してきて、VCから資金調達をし、顧客や事業提携先企業を探し回り、新製品や新サービスの立ち上げと挫折を乗り越えてきた、その経験から思うに、マネタイズを含めたビジネスの立ち上げ方法は昔から2通りしかなく、

  1. 外部資金(VCとか)を最大限活用してパワーゲーム
  2. 手金で小さくブートストラップ

のどちらか選択になります。そして、残念ながらその中間はありません。

USの場合、これまでの成功事例を見る限り、1を選択するには最低10億円程度がアーリーステージで必要だと思います。それが用意できない場合は必然的に2になりますが、そうであれば、無収入の状態でバーンレートが年6,000万円以上というのは、ある意味で自殺行為ではないでしょうか。

インフォテリアUSAは、ピーク時でフルタイム4名の体制で操業していました。シリコンバレーの人材に払う年俸は日本の相場と比べて格段に高い(一概に言えませんが、ざっくり言って2倍近く)のと、医療保険は会社が指定するワンプランのみ提供のかわり100%会社負担というシンプルなスキームにしていたこともあり、最大で年間5000万円近くが人件費として必要となっていました。

インフォテリアUSAの資本がいかほどかは分かりませんが、私から見ると1と2の間を進んでいたように感じますね。そういう意味で江島さんのケースは、「技術者出身社長が資金繰りと営業に注意を払わなかった結果、当たり前のように潰れた」という、ごく一般的な話なのかなと思います。

ただ一つ気になるのは、インフォテリア自体がVC資本を活用して成長した会社なのにも関わらず、インフォテリアUSAには何故外部投資家を入れなかったんでしょうか。村口さんとか居るはずなんですけどねぇ。

いずれにせよ、本件は江島さんにとって通過点にしかすぎないと思いますので、是非再起して、成功する事業やサービスを世に出して欲しいと思います。

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2009年6月 2日 (火)

正体見たりという気がするのだが・・・

英語圏ネット空間は地に着いてそういうところがありますからね。英語圏の空間というのは、学術論文が全部あるというところも含めて、知に関する最高峰の人たちが知をオープン化しているという現実もあるし。途上国援助みたいな文脈で教育コンテンツの充実みたいなのも圧倒的だし。頑張ってプロになって生計を立てるための、学習の高速道路みたいなのもあれば、登竜門を用意する会社もあったり。そういうことが次々起きているわけです。

 SNSの使われ方も全然違うし。もっと人生にとって必要なインフラみたいなものになってるわけ。

日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編)

結局、「シリコンバレーの一部風潮のみを見て、それを伝道師風に日本に伝えてただけでした」ということなんでしょうか。自らが日本のネットサービスのリーディングベンダーであると名乗っているような会社の取締役が、さも人事のように語るのは非常に残念です。

英語圏のネットは素晴らしいと絶賛しきりですが、YouTubeをちょっとでも見れば分かるように、世界中そんなにハイソな人ばかりではないですよ。

ウェブ進化論の中では「総表現社会」という言葉を使っている。高校の50人クラスに2人や3人、ものすごく優れた人がいるよね。そういう人がWebを通じて表に出てくれば、知がいろんなところで共有できるよね、というところまでは書いている。

 そういう、「総表現社会参加者層」みたいなのが、人口比で言えば500万人とか出てくると。少なくとも英語圏ではそういう層が分厚くて、そこがある種のリーダーシップを取っているわけだよね。

 今の日本のネット空間では、そういう人が出てくるインセンティブがあまりないわけさ、多くの場合。「アルファブロガー」的なものも、最初のうちにぽーんと飛び出した人からそんなに変わってないじゃないですか。それが100倍、1000倍になり、すごく厚みをもって、という進展の仕方と違う訳じゃない。

自分の高校時代を思い返してみても、1クラスに「アルファブロガー」的な知性と文才を持つメンバーが、(自分も含めて)2~3人も居たとは思えません。また、マスで見たときに英語圏のネット情報に優れているものが多いのは、その人口の多さと相関していると思います。何せ、日本語人口が1.2億人に限定されるのに対して、英語人口はインドも加えると20億程度はいるでしょうから、排出率が同じだとしても、コンテンツ数は10倍程度になるでしょう。それを無視して強引に展開するのは、昔の大前健一先生を思い出してしまいますね。

後編になるともっと酷くなります。

要するに、30歳まで日本に住んでしまった人間は、世界に行って大きなことをやりたいと思ったら、日本に組織を作って、時間をかけて鍛えて、新しいものを生み出すしかないと。そこに彼なりの挫折感があったのか、納得感なのか、それは彼に聞いてみないと分からないけど。

Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編)

「いまさら何言ってんだ?」という思いを禁じえません。多少なりとも海外とのビジネス経験があれば、そんなことは常識でしょう。その程度の認識で、「日本はダメだ。シリコンバレー最高!」と言われても全く説得力がありませんよ。

かなりシニカルな見方かもしれませんけど、梅田さん、近藤さんともnaive過ぎませんか。日本のベンチャー企業家でも、もっとずっとタフな考え方をしている人達は大勢居ますし、偉そうに「日本のネットは・・・」と語る前に、もっと真剣にビジネスに取り組んだ方が良いと思います。

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