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2010年9月

2010年9月25日 (土)

日本は再び右傾化するだろう

昨日の中国人船長釈放事件で「前原外相は梯子を外された」としましたが、今に至るまで菅総理からも前原外相からもコメントが出てこないところを見ると、本件が内閣全体で合意して進めた方針であることが分かります。

恐らく前原外相とクリントン米国務長官の会談に際して、米国側から早期解決を要求されたことへの回答として、処分保留での釈放となったのでしょう。早速、クローリー米国務次官補から歓迎のコメントが出てきています。

クローリー米国務次官補(広報担当)は24日、記者会見し、尖閣諸島沖の漁船衝突事件で日本側が中国人船長を釈放したことに関し、「日本は正しい決定をした。事態が解決し、満足している」と述べ、歓迎の意向を明らかにした。
「船長釈放は正しい決定」米国務次官補が歓迎

親米派の前原さんとしては米国の意向に背くことなど出来るわけもなく、米国の描いたストーリーに盲目的に乗った感が出ていますね。米国は普天間問題や財政難などを抱えており、民主党政権で反米親中路線に傾倒していた日本に対して、「中国の脅威」を煽ることによって自国の権益強化や思いやり予算増額を目論んでいます。

思いやり予算をめぐる日米協議は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題の迷走に忍従してきた米政府が攻勢に転じる構図となる。「ビタ一文、上積みは認めない」(民主党幹部)と息巻いても米側は対中抑止力提供の対価だと一蹴(いっしゅう)する公算が大きい。在沖縄海兵隊のグアム移転で追加負担を引き出すことも視野に入れており、口先だけで「同盟深化」を唱えてきた民主党政権は高い代償を求められる。
思いやり予算増額要求 米政府、忍従から攻勢に転換 「緑の同盟」が布石

米国としては、影響力を行使して日本に譲歩させることにより自国のプレゼンスを増大させる一方、中国に対しては問題長期化による国内騒乱の回避と外交的勝利を恩として売る、「一石二鳥」作戦と考えられます。中国側によるこの見返りは、実質的な人民元の切り上げ承認というところでしょうか。

人民元の切り上げ問題を巡り、米国と中国との為替戦争が激しく繰り広げられている。23日、ニューヨークで行われたバラク・オバマ米大統領と中国の温家首相との2時間に渡る会談の主要議題は人民元の切り上げ問題だった。
人民元切り上げ巡り、米中睨み合い

日本側としても、結果的に米議会が要求している人民元の20%切り上げが実現すれば、急激な円高に喘いでいる輸出企業が一服つけますので、もしかしたらそこまで見越して譲歩したのかもしれません。

しかしながら、関係各国が忘れていることが一つあります。日本の国民感情です。昨日のエントリではダッカ事件を例に出しましたが、あれは高度成長期の1977年に発生した事件であり、各国による国際的な非難は日本国内ではそれ程真剣に受け止められませんでした。また、まだまだ好景気でしたから、日本人が自国の評判を気にする風潮も強くありませんでした。

ところが、現在は状況が異なります。ネットによって国際的な情報が即時に手に入る昨今、本件によって日本の国威が著しく傷つけられたことは、ある程度の知識レベルがあればすぐに理解できます。また、20年間もの経済低迷で日本国民はナショナリズムに流れやすくなっており、今回の事件は中道左派民主党政治に対する揺り戻しと相まって、日本の右傾化を促進することになると予想します。

受け皿がどこになるのかまだ分かりませんが、次回の総選挙では「自衛隊の国軍化」、「防衛予算増大」、「武器輸出三原則の廃止」、「実質的な脱中国」を掲げる政党が躍進する芽が出てきたのではないでしょうか。

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2010年9月24日 (金)

仙谷官房長官は本当に愚かだ

尖閣諸島漁船衝突事件の容疑者である中国人船長の釈放を決定した件について、那覇地検と政府で責任の擦り付け合いが起こっているようです。

また政府内では、今回の決定が官邸と検察が相談して出した結論であり、発表の直前に法務省からの省庁間連絡として回ったと述べる関係者もいて、仙谷官房長官の説明と食い違いを見せています。
釈放決定、官房長官「那覇地検の判断」

常識的に考えて、一検察機関が外交問題を左右する処理を独自に行えるはずはなく、菅総理と前原外相が留守の現在、本件判断を下したのは仙谷官房長官と考えるのが妥当です。

仙谷氏に関しては、小沢グループへの粛清人事といい、前回の漁船と人員の無条件返還といい、明らかに政治的判断力に問題が有ると言えるでしょう。

もちろん、陰に陽に中国の恫喝が増大している現状で、我々一般国民が知らないところで、経済的、政治的な取引が行われることについては否定しません。しかしながら、本件は領土と主権に絡む国家の基盤となる問題であり、そう簡単に引くことが出来ないのは中国も日本も同じです。それにも関わらず日本だけが一方的な譲歩を行うとは、外交・政治というものが分かっていないとしか思えません。昔、ダッカ事件で日本赤軍が拘留中のメンバーの釈放を要求し、それを当時の日本政府が呑んだ際に国際的に批判されたことを忘れたのか・・・

中国政府相手の取引としても先にカードを切ることになり、交渉上最悪の一手となります。恐らく、レアアースの禁輸処置解除や、昨日身柄拘束されたフジタの4名の釈放を期待しての対応なのでしょうが、仮に中国が強圧的な対応を変えなかった場合にはどうするのか。

百歩譲って「超法規的措置」として対応するのであれば、その判断の責任者は辞職するべきであり、自分の責任をホッかむりしておいて那覇地検に押し付けるなど言語道断です。

今からでもまだ間に合います。中国人船長釈放の撤回と、仙谷官房長官の即時辞任を強く要望します。また、この判断が菅総理の承認の下に行われていたとすれば、菅総理も同罪でしょう。

しかし、前原さんは見事にハシゴを外されましたね。前原さんも抗議の辞任をするか、いっそ民主党を離党したほうが良いのではないでしょうか。

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中国は自縄自縛状態に

件の尖閣諸島紛争について徐々に中国側の対応がエスカレートしてきており、ついに国家元首級の温首相が介入を始めました。

中国国営新華社通信が22日伝えたところによると、国連総会に出席するため米ニューヨークを訪れている中国の温家宝首相は21日、在米中国人や華僑代表と会見した際、尖閣諸島付近で起きた漁船衝突事件に言及し「不法拘束中の中国人船長を即時・無条件で釈放することを日本側に求める」と発言した。

 同通信によると、温首相は「釈放しなければ、中国はさらなる対抗措置を取る用意がある。その結果についてすべての責任は日本側が負わなければならない」と述べたうえで、「近年の中日関係の発展は、双方の長年の努力によるものである。日本側が早急に過ちを正し、中日関係を正しい道筋に戻すことは、両国人民の根本利益に合致するだけでなく、平和、協力という世界の潮流とも一致する」と指摘した。
温首相が船長の即時釈放を要求 新華社報道

また、上記新華社通信の報道では「中国はさらなる対抗措置を取る用意がある」としていますが、香港の放送局が中継した映像を解析したところ、実際には「中国はさらなる強制的措置を取る用意がある」という発言だったようです。

通常は軍事衝突レベルまで覚悟しなければ、国家首脳が隣国に対してこのような発言を行わないものですが、ここまで「掛金を引き上げ」て中国は果たして軍事衝突を目論んでいるのでしょうか。事の推移からして、日本側としても安易に降りられる段階ではありませんし、特に岡田さんから前原さんに外相が交代した後となっては、中国側としても振り上げた拳の降ろしどころが見えなくなっているのではないかと思います。

よく言われることですが、日本の自衛隊は決して弱い軍隊では有りません。「専守防衛」ということに限定すれば、世界でも有数の軍事力を保持しています。これに対して中国軍は、陸上兵力こそ世界最大の規模を誇っていますが、海軍力はまだまだ発展途上であり、空軍を含めてもとても敵前揚陸戦が行えるようなレベルでは有りません。仮に日米安全保障条約が発動されず、在日米軍が参戦しなかったしても、海上自衛隊と航空自衛隊に勝つのは困難でしょう。日本は米軍を抜きにしても軍事的に相当な強国であり、同様の紛争を抱えている南シナ海のベトナムやインドネシアと一緒にするのは見通しが甘いとしか思えません。

さらに、前原外相は本件で明確な米国の支持を取り付けました。

前原誠司外相は23日午前(日本時間23日夜)、ニューヨークでクリントン米国務長官と約50分間、会談した。この中でクリントン氏は沖縄県・尖閣諸島について「日本の施政下の領域での武力攻撃に(共同で)対処する」とした日米安全保障条約第5条の適用対象になると明言した。同諸島付近で発生した中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件で日本の立場を支持するとともに、周辺海域への進出の動きを強める中国をけん制する狙いもあると見られる。
米国務長官:尖閣諸島「安保の対象」明言 日米外相会談で

こうなると中国としては、強攻策(=尖閣軍事侵攻)を採った場合は日米両軍との交戦を想定せざるを得ず、融和策(=外交的解決)を採った場合は、

  • 尖閣諸島の日本による実効支配(領土上の正当性)を認めることとなる
  • 中国の軍事的恫喝が張り子の虎と見られる
  • 南沙諸島等の南シナ海での領有権主張が弱体化する
  • 自ら国際社会に対してカントリーリスクを強調してしまった
  • 結果的に中国包囲網(=アジア版NATO)を促進させる

と全く良いことが無く、国内事情を勘案しても政権転覆が避けられない状況となるように思えます。

日本としては、中国が国際的に弱体化することは望ましいことですが、それが高じて騒乱状態になってしまっては経済的にも大きな影響を受けてしまいます。領土や主権侵害に関しては毅然とした態度を取りつつ、今から最終的な落しどころを模索することはやはり必要なんでしょうね。

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2010年9月15日 (水)

円高で菅勝利を知る

昨日の午後、PCで仕事をしている時にいきなりドル円が83円近辺まで上昇し、民主党代表選で菅さんが勝利したことを知ることとなりました。

個人的には小沢グループ、鳩山グループ、羽田グループなど基礎票の多さや演説の出来から、小沢さんの勝利を予想していました。ただ、世論に押されてかなり造反者が出たようですね。鳩山グループなどは、結果的に半数が菅支持に流れたと報道されていました。まあ、各自が地元に帰った際に、「政治と金」と支援者から口撃されて堪らなかった面も多々あるのでしょう。

私は以前から、「代表選の結果はどうあれ、小沢さんの負けはない」と考えていました。現実の選挙結果は菅代表再選なわけですが、それでも「負けはない」と考えるのには理由があります。

まず、菅陣営とマスコミによるあれだけのネガティブキャンペーンにも関わらず、国会議員票で五分五分まで持っていったこと。また、事前調査では8:2と報道されていた地方議員票と党員・サポーター票でも、得票率では6:4と意外に善戦しています。これは民主党内に約半数の小沢支持者を得たことを示すものであり、菅陣営が目論む「小沢外し」を牽制する意味から非常に大きなポイントです。

菅さん(実態は仙石さん?)は、「小沢外し」を掲げたからこそ支持を得ていた面もありますが、逆に支持者の全員が党分裂含みとなる「小沢外し」に賛同しているわけではありません(特に労組系議員とか)。だからこそ、選挙戦終盤で「小沢外し」の看板を「挙党一致」に架け替えて臨んだのであり、小沢基礎票を切り崩す際にも「党分裂はさせない」と約束していると思われます。つまり、陣営内に「小沢外し派」と「挙党一致派」を抱えているわけで、小沢グループの処遇をどうするかは非常に難しい問題を抱えています。

仮に、小沢さんを本人が納得出来るポスト(幹事長か閣内主要ポスト?)で処遇するとすると、これは先の鳩山仲裁の実現にほかなりませんので、ある意味で小沢さんの思惑と一致すると思います。

逆に、小沢グループを要職から完全に干した場合には、党内の半数が与党内野党となり、小沢グループの同意を得ない限りは、ねじれの参院の前に衆院を通りません。さらには、野党が内閣不信任案を提議した場合に賛成若しくは棄権することも可能となります。これは小沢グループが、ある種のキャスティングボートを握ることを意味します。

また、衆参ねじれの状況ですので、どこかの野党を取り込まなければ来年度予算は通りませんが、野党とのパイプが少なく公明党と決定的に不仲な菅さんでは、このまま本年度末を乗りきれる可能性は低いと思います。その場合は連立か解散総選挙となるわけで、やはり小沢さんに声が掛かる可能性があると思います。

というわけで、代表選では負けたけれども、ポジション的に面白い立ち位置になった小沢さんですが、今回の件で世論の逆風は切実に感じているでしょうから、次回は必勝を期して自ら起つことは無いかもしれませんね。原口さんか細野さんか分かりませんが、きっと民主党代表選に立候補したことが無い若手を後継指名して、雪辱戦に望むのではないかと思いました。

最後に続投となった菅総理には、いつまでも官邸に引きこもっていないで毅然と行動していただきたいと思います。経済は言うまでもありませんが、昨今は外交にも大きな問題を抱えています。何時までも戦後を引きずっていないで、一刻も早く土下座外交を脱却し、自主独立の気概をもって事に当たることを期待します。

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2010年9月 5日 (日)

ネット動画で政治が変わるかもしれませんね

昨日に引き続き民主党代表選の話題になりますが、こんな動画を見つけました。この演説会を、実際に新宿西口に集まった1200人の聴衆だけで終わらせるのは勿体ない。全国民が見ても良いのではないかと思います。

9.4民主党立会演説会

個人的な見解は伏せておきますが、良識ある人が見る限り、どちらに政治家としての適性が備わっているかは一目瞭然だと思います。

それにしても、本日のニコ生に小沢さんが1時間半も登場したことや、ユーストで演説の全てを見れるとなると、もはやネットの影響力を考慮しない政治家は生き残れない時代なんでしょうね。良い傾向だと思います。

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2010年9月 3日 (金)

菅さんと小沢さんでは政治家としてレベルが違いすぎる

民主党代表選で小沢さんが出馬したことに拍手を贈りたいと思います。小沢さんには今までフィクサー的な印象を持っていましたが、今回はきちんと表に出てきてしっかりとした政策を提言しており、正直に言って自分の中で非常に評価が上がりました。個別政策の実現性については今後検証が必要でしょうが、このような「自らが思うところを雄弁に語る」姿勢は、政治家の適性として非常に重要な部分だと思います。

逆に、私の中でもの凄い勢いで評価を下げているのが菅総理とその支援者です。菅さんについては、大変失礼ながら「本当にバカなんじゃないのか?」と思う振る舞いが多すぎます。例えば、代表選での小沢批判として「政治と金」を連呼すること。

競合優位性を確保するためにネガティブキャンペーンを張ること自体は、戦術的には「有り」でしょう。しかしながら、同じ党内の小沢さんをブラック/ダーティであると名指ししておきながら、自らが勝利した場合に挙党一致で小沢さんとも協力していくという主張には、大きな矛盾が有ります。「代表選勝利=自分が最高責任者」であるわけで、その配下に最大派閥としてブラックな集団(小沢グループ)の存在を許すことは自殺行為です。菅さんが主張している通り、政治にはクリンリネスが非常に重要で、その面から小沢さんは首相として不適格であるとする主張の裏には、自分が勝利したら党内から小沢さんを排除する、つまり事実上民主党を割るというロジックがなければなりません。

ところが、菅さんは出馬会見でも、またその後のテレビのインタビューでも、「勝っても負けてもノーサイドである」と発言しています。これはおかしい。代表戦後に野党からこの矛盾を突かれて、「小沢さんの民主党除名」を要求されることは目に見えています。本人もその支援者(主に閣僚)も気付いていないのでしょうか?

そういえば、菅陣営の蓮舫さんが「政治と金戦術はそろそろ控えるべき」と発言したとのことですが、蓮舫さんはこの矛盾に気付いたのか、それとも怪しい空気を読んだのか興味深いですね。

また、組織運営的に言っても、党内最大派閥を味方に付けられない時点でリーダーシップが欠落している印象を持ちます。真のリーダーであれば、何だかんだ言っても数を味方に付ける必要性を認識していますし、その為に必要に応じて妥協もします。実際、今回告示直前で鳩山さんの調整を袖にした行為は、様子見をしていた鳩山グループ50人を敵に廻しただけで、自陣営に有利に働いていないでしょう。衆参ねじれの状況では、自らの政策を実施するために野党との協力が不可欠なはずです。あの状況で鳩山グループを取り込めない人物に対して、各野党が協力するとは思えません。

俯瞰していて面白いのは、マスメディアの現場の雰囲気がここ数日で変わってきたことです。たまたま今日のテレ朝スーパーモーニングを見ていたところ、小沢さんが出演していてレギュラー陣の質問に色々と答えていました。最初は厳しい雰囲気もあったのですが、一つ一つの質問に対する小沢さんの受け答えが非常に真摯且つユーモアに溢れていて、最後の方はスタジオ全体が小沢さんの理解者になったかのような空気でした。メディアも企業ですから各社とも左右に方針があるのでしょうけれど、あの柔和な表情で語られたら、現場の番組スタッフはきっと小沢ファンになるのではないかと感じました。

数日前に同じように菅さんがNHKや報道ステーションに出演していたのも視ました。何と言うか狐に抓まれたような受け答えで、率直に言ってとても総理大臣の器には思えませんでした。色々なところで票読みがされていますが、きっと時間が経つに連れて小沢さんが有利になるだろうと予想します。さて、次の総理はどちらになるのか?

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