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2010年9月24日 (金)

中国は自縄自縛状態に

件の尖閣諸島紛争について徐々に中国側の対応がエスカレートしてきており、ついに国家元首級の温首相が介入を始めました。

中国国営新華社通信が22日伝えたところによると、国連総会に出席するため米ニューヨークを訪れている中国の温家宝首相は21日、在米中国人や華僑代表と会見した際、尖閣諸島付近で起きた漁船衝突事件に言及し「不法拘束中の中国人船長を即時・無条件で釈放することを日本側に求める」と発言した。

 同通信によると、温首相は「釈放しなければ、中国はさらなる対抗措置を取る用意がある。その結果についてすべての責任は日本側が負わなければならない」と述べたうえで、「近年の中日関係の発展は、双方の長年の努力によるものである。日本側が早急に過ちを正し、中日関係を正しい道筋に戻すことは、両国人民の根本利益に合致するだけでなく、平和、協力という世界の潮流とも一致する」と指摘した。
温首相が船長の即時釈放を要求 新華社報道

また、上記新華社通信の報道では「中国はさらなる対抗措置を取る用意がある」としていますが、香港の放送局が中継した映像を解析したところ、実際には「中国はさらなる強制的措置を取る用意がある」という発言だったようです。

通常は軍事衝突レベルまで覚悟しなければ、国家首脳が隣国に対してこのような発言を行わないものですが、ここまで「掛金を引き上げ」て中国は果たして軍事衝突を目論んでいるのでしょうか。事の推移からして、日本側としても安易に降りられる段階ではありませんし、特に岡田さんから前原さんに外相が交代した後となっては、中国側としても振り上げた拳の降ろしどころが見えなくなっているのではないかと思います。

よく言われることですが、日本の自衛隊は決して弱い軍隊では有りません。「専守防衛」ということに限定すれば、世界でも有数の軍事力を保持しています。これに対して中国軍は、陸上兵力こそ世界最大の規模を誇っていますが、海軍力はまだまだ発展途上であり、空軍を含めてもとても敵前揚陸戦が行えるようなレベルでは有りません。仮に日米安全保障条約が発動されず、在日米軍が参戦しなかったしても、海上自衛隊と航空自衛隊に勝つのは困難でしょう。日本は米軍を抜きにしても軍事的に相当な強国であり、同様の紛争を抱えている南シナ海のベトナムやインドネシアと一緒にするのは見通しが甘いとしか思えません。

さらに、前原外相は本件で明確な米国の支持を取り付けました。

前原誠司外相は23日午前(日本時間23日夜)、ニューヨークでクリントン米国務長官と約50分間、会談した。この中でクリントン氏は沖縄県・尖閣諸島について「日本の施政下の領域での武力攻撃に(共同で)対処する」とした日米安全保障条約第5条の適用対象になると明言した。同諸島付近で発生した中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件で日本の立場を支持するとともに、周辺海域への進出の動きを強める中国をけん制する狙いもあると見られる。
米国務長官:尖閣諸島「安保の対象」明言 日米外相会談で

こうなると中国としては、強攻策(=尖閣軍事侵攻)を採った場合は日米両軍との交戦を想定せざるを得ず、融和策(=外交的解決)を採った場合は、

  • 尖閣諸島の日本による実効支配(領土上の正当性)を認めることとなる
  • 中国の軍事的恫喝が張り子の虎と見られる
  • 南沙諸島等の南シナ海での領有権主張が弱体化する
  • 自ら国際社会に対してカントリーリスクを強調してしまった
  • 結果的に中国包囲網(=アジア版NATO)を促進させる

と全く良いことが無く、国内事情を勘案しても政権転覆が避けられない状況となるように思えます。

日本としては、中国が国際的に弱体化することは望ましいことですが、それが高じて騒乱状態になってしまっては経済的にも大きな影響を受けてしまいます。領土や主権侵害に関しては毅然とした態度を取りつつ、今から最終的な落しどころを模索することはやはり必要なんでしょうね。

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