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2010年12月

2010年12月28日 (火)

見事にハメられた菅政権

NHKの速報ですが、小沢氏が鳩山前首相に政倫審出席の意向を伝えたとのこと。これで菅政権は「詰んだ」と思います。

民主党の小沢元代表は、鳩山前総理大臣と会談し、党内の対立の解消に向けて、みずからの政治資金を巡る事件などについて弁明するため、衆議院政治倫理審査会に出席する意向を伝えました。
小沢氏 政倫審出席意向伝える

私の予想がドンピシャに当たったようです。

まあ、ベストシナリオとしては、両院議員総会まで(できれば年内)に小沢氏が国会招致を了承して、仙菅派の反撃ネタを消してしまうことでしょうね。国会招致をクリアすれば、「禊は済んだ」として小沢氏が表に出られる環境も一歩前進します。さて、どうなるか。
小沢氏は仙菅派を追い出すつもりだろう

昨日の会見で菅首相は、「小沢氏が政倫審を拒むのならば離党勧告する」という趣旨の発言をしています。

 12月27日(ブルームバーグ):菅直人首相は27日夕、民主党が衆院政治倫理審査会で小沢一郎元代表の出席を求める議決を通常国会前に行う方針を決めたことに関連し、小沢氏が党の決定に従わず、出席拒否の方針を変更しなければ、同氏自身が自らの離党を含めた出処進退を判断すべきだとの考えを示した。官邸で記者団に対し語った。
菅首相:小沢氏は自ら出処進退判断を-政倫審出席拒否なら

これは裏を返せば、「小沢氏が政倫審に出席するならば離党勧告はしない」という言質を取った形となり、この状況で小沢氏が政倫審出席を承諾した以上、今後強制起訴になった場合でも小沢氏を排除することは非常に困難になるでしょう。

また、これまで支持率低下や地方選連敗の原因を小沢問題にすり替えて来た菅政権としては、国会招致が実現してしまうとこれ以上小沢カードが切れなくなり、状況が大幅に改善されない限りは必然的に手詰まりとなります。

逆に小沢氏陣営は、「禊は済んだ」、「支持率低下は現政権の問題」として、地方組織の反乱をアジテートすることで、3月の統一地方選前に菅政権の退陣を要求する戦略を取るでしょう。

それにしても、小沢さんは自分の商品価値というものを本当によく理解されていると思います。やはり「菅さんと小沢さんでは役者が違う」としか言いようが有りませんね。

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2010年12月27日 (月)

ガソリン、コーヒー等の値上げ

来年3月からのコーヒー値上げが発表されました。

   コーヒー大手のキーコーヒーが2010年12月27日、コーヒー豆価格の高騰を受け、11年3月1日からレギュラーコーヒー製品を15%前後値上げすると発表した。

   10年は天候不順などの影響で、コーヒー豆の価格が6月ごろから上昇。価格の指標となるニューヨーク市場での「アラビカ豆」が現在、年初価格の2倍前後で推移しており、13年ぶりの高騰とされる。
キーコーヒー、約15%の値上げへ コーヒー豆高騰で

キーコーヒーは業界2位の大手ですが、別のニュースでは業界1位のUCC、3位のアートコーヒーも追従する構えを見せているとのことです。

原油先物(WTI)が91ドルを超えてきており、原油を原料とするプラスチック製品や合成ゴム製品も値上げが決まっています。私が何時もいれているスタンドのガソリン価格も、先週末でレギュラー127円と再び上昇を始めました。

世界的な通貨下落(インフレ)によって、20年にも渡った日本の長期デフレが終了しようとしています。朝鮮半島情勢も怪しいですし、そろそろ物価急騰に火をつけるような何か(戦争とか?)が起こりそうな予感がします。

そう言えば、最近デフレという言葉を聞かなくなりましたねぇ。

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中国経済 前門のインフレ、後門のバブル崩壊

中国の経済政策がインフレとバブル崩壊の合間で厳しさを増しています。ここに来て物価上昇が止まらず、シビレを切らした政府は0.25%の利上げを発表しました。

中国人民銀行(中央銀行)は19日、金融機関の貸出・預金金利を20日から0.25%引き上げると発表した。中国が本格的な金融引き締め策となる利上げを実施するのは2007年12月以来、2年10カ月ぶり。
中国、0.25%利上げ 2年10カ月ぶり バブル懸念の再燃で

これは10月に引き続き、11月のCPIも大幅な上昇となったことを受けたものとなります。

中国国家統計局が11日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.1%上昇した。10月の4.4%上昇から加速し、ブルームバーグ・ニュースが29人のエコノミストを対象にまとめた予想中央値の4.7%上昇も上回った。
中国11月CPI、前年比5.1%上昇に加速-利上げ圧力増す

現地からの情報では、一般市民の間で物価上昇(特に食品)を理由とした政府批判が公然と頻発している状況とのこと。将に「食い物の恨みは恐ろしい」を地で行く展開です。

これに伴い、9月の底値から一時25%程度戻していた上海市場も、再び2800を割り込んできました。

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また、12月17日に2.0%を切っていた上海インターバンク翌日物レート(SHIBOR)が、本日は4.5%と実に2倍以上に急騰しています。

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インフレ退治の為に金利を上げると、今度はバブル崩壊が迫ってくるという、将に「前門のインフレ、後門のバブル崩壊」という状況に陥っており、少なくともここ暫くは綱渡りの状態が継続しそうです。

上海の富裕層がバブル崩壊を見越して国外脱出を図っているという話も最近聞きますし、移住先として東京の人気が高いため、都内のマンションがよく売れるという現象も起こっている様子。中国経済もそろそろ限界か。

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菅v.s.小沢の行方

昨日の西東京市議選は、やはり民主党の惨敗でした。現執行部の菅仙谷岡田連合軍は、連合幹部の仲介も無視して強気一辺倒の様子らしいですが、着々と外堀は埋められている感が有ります。

9月の代表選では議員票はほぼ拮抗状態で、党員票が6:4位で差がついた結果となりましたが、統一地方選に向けてこれだけ連戦連敗の状況で、地方組織は果たしていつまで菅政権を支える気でいるのでしょうか。そろそろ裏切り者が出始める頃ですよね・・・

尚、小沢新党を結成する場合も政党助成金を確保するために年内が目処となりますが、27日の現時点でもそのような動きは見られませんので、やはり小沢陣営の狙いは本丸の奪還なのでしょう。1月13日の党大会が当面のターゲットのはず。

本来であれば、増税・緊縮財政派(自民党清和会、民主党仙菅派)v.s.積極財政・リフレ派(自民党麻生派、民主党小沢派)で綺麗に別れて政界再編してもらった方が、国民にとってもずっと分かりやすいと思いますので、このまま民主党が左翼政党として活動するならば小沢氏には分裂して保守連合を進めて欲しいですし、小沢派が民主党を抑えた場合は旧社会党勢力を追い出して欲しいですね。

それで、追い出された民主党左派の人たちは社民党と合併してください。それが一番分り易いと思います。

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2010年12月13日 (月)

小沢氏は仙菅派を追い出すつもりだろう

民主党の分裂騒ぎが大きくなっていています。特に参院選後の地方選挙で連戦連敗状態が継続しており、昨日の茨城県議選でも候補者24人に対して当選者が6名と大惨敗となりました。

これを受けて報道も過熱。本日の民主党役員会での「小沢氏の政倫審強制招致か!?」というヘッドラインが踊っていました。ところが実際の役員会の結論は、「岡田幹事長に一任」で一気に拍子抜け。そもそも以前から岡田幹事長に一任されていたはずですよね・・・

ちなみに一連の報道では、小沢氏及びその周辺は新党結成も視野に入れて行動しているとされていますが、私はむしろ反対に仙菅派を追い落とす作戦なのではないかと思います。理由は、小沢氏が国会招致カードの掛金を自ら吊り上げている節があるからです。

確かに証人喚問の場合は出席を強制されるだけでなく、虚偽証言を行った場合は偽証罪に問うことが可能ですから、一定の威力があることは事実です。しかし、それは一般人相手の場合であって、今回は百戦錬磨の政治家、それも刑事事件の現役被疑者でもある小沢氏です。小沢氏にしてみれば、勝手知ったる国会の場で殆どが自分より格下の議員(しかも素人)となれば、これまで対峙してきた特捜検事に比べると、子供のようなものではないでしょうか。

また、過去の証人喚問がそうであったように、かの有名な「記憶にございません」というセリフを用いることで、証人は実質的に証言を拒否することが可能です。加えて、小沢氏は代表選で「国会の招致があれば応ずる」と発言しています。であるならば、何故これほどに国会招致を拒むのか? 考えられる理由は、仙菅派の失点狙いと多数派工作のための時間稼ぎです。

恐らくターゲットは、来年1月13日の民主党党大会と同時開催の両院議員総会でしょう。直前の12月26日に宮崎県知事選や西東京市議選等の地方選挙が予定されていますので、松戸市議選⇒茨城県議選ときて地方組織の不安感を焚き付け、地方発の「仙菅降ろし」を扇動する作戦だと思われます。

まあ、ベストシナリオとしては、両院議員総会まで(できれば年内)に小沢氏が国会招致を了承して、仙菅派の反撃ネタを消してしまうことでしょうね。国会招致をクリアすれば、「禊は済んだ」として小沢氏が表に出られる環境も一歩前進します。さて、どうなるか。

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2010年12月10日 (金)

忍び寄るコストプッシュインフレ

11月のCGPI(企業物価指数)が発表されました。

 日銀が10日発表した11月の国内企業物価指数(2005年=100、速報)は103・0と前年同月比で0・9%上昇し、2カ月連続でプラスとなった。

 ただ、たばこ税の引き上げが大きく影響しており、日銀は「企業物価の本格的な底入れには、まだ時間がかかる」とした。前月比は0・1%のプラスだった。

 原油など素材価格の上昇や、外国為替市場で円がやや値下がり方向に振れたことも寄与した。

 たばこを含む加工食品は前年同月比で2・7%値上がり。鉄鋼は同8・8%、石油・石炭製品は5・5%上昇した。半面、厳しい販売競争が続いていることを背景に、情報通信機器は6・4%、電気機器は3・8%の値下がり。

 輸出物価指数(円ベース)は3・1%下落。輸入物価指数(同)は3・9%上昇した。
企業物価、2カ月連続上昇 11月

前月に引き続き、表向きの原因は「たばこ税」とされていますが、タバコが含まれる加工食品の上昇が2.7%なのに対して、鉄鋼は8.8%、石油・石炭製品は5.5%上昇していることを考慮すると、原材料価格上昇の方が大きく寄与していると思われます。

実際に工業原料である銀とパラジウムのNY市場チャートを見てみると、半年前の7月初旬からそれぞれ、銀が56%、パラジウムは77%も上昇しています。

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また、ここ最近の各国国債の暴落により政府調達金利は上昇してきており、米国債30年物の金利が4.4%、同10年物も3.2%を突破してきました。

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原材料の値上がりと金利の上昇とくれば、「インフレ」しかありません。

日本にとって苦しいのは、「為替トレンドが円安に反転すれば経済は好転する」という、製造業を中心とした楽観シナリオが成り立ち難くなってきたことです。このまま原材料高が継続すれば、製造業では製品価格に転嫁せざるを得ず(鉄鋼は既に来期の値上げを決定)、各国の消費が弱まっているところにダブルパンチの様相を呈してきます。トリプル安だけは避けたいところでしょうが、可能性としては在り得るでしょうね。

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2010年12月 8日 (水)

農業安全保障とレーシックの相似形

レーシック(Laser-assisted in Situ Keratomileusis)という、目が悪い人だったら一度は聞いたことがある近視矯正術があります。私も高校入学後に視力が低下し始め、現在は0.01という小数点第2位が危ないくらい(笑)の近視になってしまいましたので、やはりレーシックの施術を受けようかと検討したことがあります。

レーシックのメリットは、何と言ってもお手軽且つ低価格な点でしょう。それ以前のPRKなどでは両眼で30万円前後の価格だったと記憶していますが、レーシックの場合は近年対応クリニックが増加して価格競争が引き起こされ、両眼で10万円を切る価格での施術が可能となりました。また、術後1週間程度入浴できないのを除けば、アフターケアは暫くの点眼のみであり非常にお手軽です。これで裸眼視力1.5程度に回復してメガネやコンタクトとお別れできるのであれば、人気が出るのも肯けるというものです。

この経済的なメリットについて、私自身のケースで試算してみました。私は普段2週間使い捨てタイプのコンタクトを利用しており、

で年間費用は23,000円です。

これに対して、8万円~30万円のコースが存在するレーシックの施術費用を仮に20万円とすると、

  • 200,000 ÷ 23,000 = 8.7

PER8.7となり、10年以内に経済的な元が取れる計算です。

さらに私の平均余命は40年程度なので、余生をこのままコンタクトで過ごす場合の追加投資額は、23,000円×40年=92万円となります。従って、単純な経済合理性で判断すると当然「投資GO」となるはずですが、実際の私はこれと反対の結論を出しました。理由はレーシックの「リスクとリウォード(Risk and Reward)」に満足できないからです。

レーシックは目の表面の角膜にエキシマレーザーを照射し、角膜の曲率を変えることにより視力を矯正するもので、一度手術したら2度と元には戻らない永続的な変化を起こすことが特徴です。また、レーシックには以下のような合併症のリスクも存在します。

    • 術前より矯正視力が低下し、眼鏡やコンタクトレンズ、再手術によっても矯正できないことがある
    • 過剰矯正および矯正不足
    • 視力の変動
    • ゴースト像
    • フラップのしわ
    • フラップの下の塵や腫瘍
    • フラップの穴
    • 照射のずれによる乱視
    • 角膜拡張
    • 飛蚊症
    • 上皮侵食
    • 後部硝子体剥離
    • 黄斑円孔
      レーシック - Wikipedia

それに加えて、術式そのものには問題がない場合でも、クリニックの衛生面に問題があって広範囲な感染症例を出した事件もありました。

 東京都中央区の「銀座眼科」(閉院)で、レーザー光線で近視を矯正する「レーシック手術」を受けた患者が相次いで感染性角膜炎などを発症した事件で、警視庁捜査一課と築地署は7日、ずさんな衛生管理が感染を招いたとして、業務上過失傷害の疑いで、元院長溝口朝雄容疑者(49)=茨城県日立市=を逮捕した。同課によると、レーシック手術をめぐる医療関係者の逮捕は全国で初めて。
レーシック元院長逮捕 銀座眼科衛生管理怠り感染症

この事件は昨晩のニュースでも取り上げられていました。被害者の中には失明こそ免れたものの、術後極端に視力が低下した事例もあり、前述の不可逆性と合わせてレーシックには大きなリスクが存在すると思います。

リスク(危険性)とリウォード(報酬)は投資戦略を考える上で非常に重要で、低リスク高リウォードの投資であれば是非とも実行すべきですが、反対に高リスク低リウォードの投資はなるべく避けるべきです。

今回のレーシックの場合は、

  • リスク:確率は低いが、失明を含む恒常的な障害が残る可能性がある
  • リウォード:コンタクトが不要になり、100万円程度の期待収益がある

となります。

ちょっと乱暴な言い方ですが、「両目を賭けるギャンブルがある。成功報酬として100万円貰えるが、運悪く失敗すると両目を失う。賭けますか?」ということでしょう。私は(若干の不満はあるものの)コンタクトに概ね満足しているので、100万円の報酬では両目を賭けられないという結論を出しました。皆さんはどう考えますか。

ところで昨今、TPP関連で農業の安全保障について盛んに議論されています。農業は一度耕作放棄をしてしまうと復活させるのに非常に大きなコストが掛かりますし、農地の保全コストについても同様です。それらのコストは農業による収益では賄えない程大きなもののため、実は米国でも耕作放棄地がドンドン増加しているそうです。

TPPは構造的に前述のレーシックと同じ「リスクとリウォード」の問題を抱えています。つまり、国家の食を賭けてまで、農産物の低価格化という報酬を求めるかということです。

私はこの問題についても、「リスクとリウォード」がバランスしていないと思います。少なくともレアアース問題と同様の売り惜しみに対抗できる同盟国との絆(特別購入枠の設定等)や、我が国による強制的措置を裏付ける軍事力・政治力を持てるようになるべく、長期的視野に立って進めていくべきではないでしょうか。世の中は、聞こえの良い言葉の方がずっと恐ろしいものですよ。

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2010年12月 2日 (木)

リン争奪戦の解決策は植物工場しかない

現代農業に欠かせない化学肥料の輸出制限を、中国が突然始めた模様。

 中国は1日、リン酸アンモニウムなど化学肥料の輸出関税を31日まで110%に引き上げると発表した。ここ数年、国内の肥料の需要期に高関税を課したことはあったが、突然の表明。実質的に輸出が止まることになりそうで、大手商社で肥料を扱う部署の幹部は「レアアースと状況が似てきた。中国は長期的には国内分を確保するつもりだろう」と漏らした。

 実は「中国が来年から年を通じて輸出関税を30~40%にするのでは」といううわさが業界を駆けめぐっていた。リン鉱石を原料とするリン酸アンモニウムの場合、直近の税率は数%で、業界は輸出規制の強化に身構えていた。
肥料争奪戦、レアアース並み 中国、リン輸出を突然制限

当面は12月末までの期間限定ですが、輸出関税が数%から110%へ引き上げということは、輸入側からすれば価格が倍以上になることを意味しますので、事実上の輸出禁止措置に近いと思われます。この構図は先日のレアアース禁輸措置と良く似ており、今後日本をはじめとした肥料を輸入に頼っている国々が一斉に反発し、またぞろ国際社会で中国非難が盛り上がることでしょう。

しかしながら、レアアースを含む中国の資源保護主義政策について反射的にバッシングすることは、あまり良い方法だと思えません。記事中にもありますが、リン鉱石の輸出については米国やカナダも停止しつつありますし、世界的に資源争奪戦となっているため価格が急騰しているからです。また、この局面で中国側(というか資源輸出国)からしてみれば、今後の資源枯渇を想定して在庫を持っておきたいというのは自然な考えですし、いくら自由貿易といっても内政干渉レベルの強要は出来ません。

それでは日本はこの問題にどのように対処すべきか。その答えは最近注目を浴びている「植物工場」のような農業の工業化ではないかと思います。

Photo

そもそも国土が狭く平野が少ない我が国では、どうやっても世界と伍していくだけの大規模農業は実現できません。「零細農家を統合して農業法人による大規模農業化を行えば勝てる」などという言説が度々メディアにも掲載されますが、それは大陸国の大規模農家を良く知らないだけではないかと思います。

米国の大規模農家では数万エーカー規模の所もあり、仮に1万エーカーとしても実に4000ha(7km四方弱)と、日本からすると想像を絶する広さの農地で生産をしています。その上で農薬散布を飛行機で行ったり、小規模なビルほどもあるコンバインで大量に収穫作業を行うなどの機械化によって、高い生産性を誇っています。果たして日本国内で同じことが可能か、またもし可能だとしてその農場をいくつ作れるかと考えてみれば、規模では勝負にならないのが自明です。

実は日本の御家芸である工業においても、以前は「大規模な米国の工業には勝てない」と言われ、同じような状況にありました。しかしながら、日本の工業は規模の弱点を見事に克服し、現在でも世界に誇る高い生産性を維持しています。そのノウハウを農業に展開しましょう。

もちろん、「農業の工業化」といっても口で言うほど簡単ではないでしょう。現に下記のような安直な議論に警鐘を鳴らしている記事もあります。

 以上述べてきたように、植物工場が効率的だ、植物工場を見習え、という昨今のテレビのコメンテーターの発言は、眉に唾をつけて聞いた方がよいでしょう。また、「農業を工業化し、生産効率を上げるべきだ」という似たような主張がありますが、これは植物工場と同様、3つの問題を克服しなければなりません。上記の問答で使った番号でいえば、
3)植物の生育スピードは最速でも20日間
4)植物は「動かせない」
5)農産物は安くないと売れない
の3つです。特に3)、4)の問題は「工業化」と真っ向から矛盾します(A8、A9参照)。製造速度を20日間より短縮することができず、製造物(野菜)を何十日も同じ場所から動かすことができず、機械や人間の方が世話するために動いてやらなければならないというのは、「工業化」の概念と対立してしまう問題です。
「植物工場」は本当に効率的か 一問一答で考える農業の未来

しかし、昔からFA(Factory Automation)は日本の得意とするところです。かなり以前のエントリで、「液晶とプラズマの戦いは継続的なカイゼンによって液晶が勝つ」と予測したことがありましたが、植物工場はきっと同じような技術革新によって、徐々にメインストリームになると思います。

 植物工場とは、この研究に長年携わる東京農業大学の高辻正基客員教授によると、「野菜や苗を中心とした作物を施設内で光、温湿度、CO2、培養液などの環境条件を人工的に制御し、季節に関係なく自動的に連続生産するシステム」と定義されている。植物工場には、後述する「太陽光利用型」と「完全制御型」があるが、低農薬または無農薬の高品質作物を、天候に左右されることなく、狭い土地利用で大量生産できることに特徴がある。

 その一般的な構成は、おもに各種センサ、コントローラ、(簡易なアクチュエータを含む)栽培装置、栽培ノウハウ(栽培ソフト)、各種光源などから成る。見方によっては、センサ、コントローラ、アクチュエータのロボットの3要素を空間内に分散配置した“空間ロボット”と見ることができ、農業ロボットの分類に加えられることもある。
農業ロボット企画 第2弾 拡大する“空間ロボット”「植物工場」とRTの融合を予測する!

このような技術を国家的に支援し、日本の農業を今一度確立した上で初めて、TPPのような冒険的な政策を進めることが出来ると思います。結果的には現在の農家を困窮させることになるかもしれませんが、国としては一歩前に進みますし、現状で日本の選択肢はそれ程多くありません。今こそ政府の勇気ある決断を期待します。

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