« 視聴者にも避けられる菅総理 | トップページ | 仙谷官房長官更迭で一旦休戦か »

2011年1月11日 (火)

クーポンビジネスの実態は擬似金融業?

年末年始にお節料理でケチを付けて一躍有名になったクーポンビジネスですが、炎上したお陰で様々な実態がレポートされる結果となり、早くも社会問題化の雰囲気が漂ってまいりました。

私も少し前に某クーポンビジネス大手がテレビCMをバンバン打っているのを見て、「相当儲かってるのかなぁ~?」と思っていたら、別のWebニュースで「今年(2010年)の取扱高が30億円を突破!」とか出ていて、意外に売上が少ないのに驚いたことがあります。ネットバブル時代でもないのに、この事業規模でテレビCMを打つというのは、私の感覚的には過大投資なんですよね。

逆に言うと、「取扱高30億程度でもテレビCMを打てるくらいの利益が出る」という表現も可能ですが、果たしてそんなに儲かるビジネスなのか? ちょっと興味が湧いたので調べてみました。

以下はあくまでもクーポンビジネスの特徴の一例ですが、まあ有象無象の競合は本家のモデルをそのまま模倣しているようなので、恐らくクーポンビジネス全般の実態なのでしょう。

  • 事業者手数料(売上)が表示価格(取扱高)の50%、店(テナント)の取分が50%
     ⇒取扱高10,500円のお節料理を売った場合の売上は5,250円、店の売上も5,250円
  • 消費者はクーポン利用の有無に関わらず料金を先払い(主にカード決済)する
     ⇒何らかの理由で未行使となった場合、クーポン購入者は全損となる
     ⇒未使用クーポン分の利益が事業者と店でシェアされているかは不明
     ⇒100%事業者の利益という話もある(本当か?)
  • クーポンの発行数量は事業者側が決定できる(らしい)
     ⇒飲食店のクーポン購入者が利用期限内に予約できない事例が頻発
     ⇒店側のキャパシティを超えてクーポンが発行される可能性がある
     ⇒クーポンが必ず行使できる権利は保証されていない

これを見て思ったのは、「コールオプションの売買に似ているな~」ということです。

参考サイト:オプション道場 コール・オプションの仕組み

お節料理の事例で当てはめると、

  • 消費者は行使価格5,250円、プレミアム5,250円、行使期限1月1日のコールオプションを購入した
  • クーポン事業者(オプション発行者)はプレミアム5,250円を受け取った
  • 店は原資産を一生懸命製造した(笑)

となりますが、クーポンビジネスがコールオプションと決定的に異なるのは以下の点です。

  1. オプション発行者(金融の場合は主に証券会社等)には権利行使に応じる義務がなく、権利行使に応じる義務を負うのは主に店側
  2. 商品の種類によっては実質的にサービス提供できない場合がある(予約が一杯の場合など)
  3. 総支払額の内訳(行使価格とプレミアム)が公表されておらず、消費者からは行使価格(上記の事例では5,250円)が不明
  4. 株などの有価証券と異なり、原資産(上記の事例ではお節料理)に公開市場が存在しないため、コールオプションの行使価格(上記の事例では5,250円)が適正かどうか判別できない
  5. 原資産の価格変動性が非常に低く、オプションでヘッジするメリットが存在しない

通常、コールオプションの売手は、価格が上がった場合にもオプションの行使価格で原資産を売る義務を負うため、「利益限定、損失無限大」のリスクがありますが、クーポンビジネスの場合はこのリスクが店側に転嫁されています。このためリスクを負う店側は、サービス提供に応じない、商品価格を適切に設定しない等のモチベーションが働き、今回のような騒動となったのではないでしょうか。

まあ、上記が真実だとすると、リスクフリーでオプションを無限に発行出来るということになりますので、そりゃクーポン事業者は儲かりますよね。掛かるコストはWebサイトの開発と維持くらいですし、類似業者が150社と雨後のタケノコ状態なのも頷けます。

儲けること自体は悪いことではありませんが、仮に消費者が先払いした資金がサービス提供前に店側に支払われるのであれば、事業融資に非常に近い業態となりますし、「(金融業と同様に)当局の厳重な監視下に置いた方が良い」との意見が出るのも当然でしょう。事業者側も、現状のままでは「和牛商法とどう違うのか?」と言われても仕方がない面があると思います。早急に何らかの対策を打つべきでしょうね。

ちなみに、米国の本家では創業者が持株をGSに売り抜けたともっぱらの噂。ちょっと早くないですか?

|

« 視聴者にも避けられる菅総理 | トップページ | 仙谷官房長官更迭で一旦休戦か »

ベンチャー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1100243/38431657

この記事へのトラックバック一覧です: クーポンビジネスの実態は擬似金融業?:

« 視聴者にも避けられる菅総理 | トップページ | 仙谷官房長官更迭で一旦休戦か »