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2011年6月14日 (火)

中国のお尻に火がついている件

ここのところ色々忙しく、しばらく更新が滞っていましたが、久しぶりの中国ネタで再開します。きっかけは、サーチナのこんな記事でした。

 米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が発表した世界各国の資産状況に関するレポートによれば、100万ドル以上の資産を有する中国の世帯数が、ドイツを上回るなど、中国国内で資産家が急増していることが分かった。しかし一方で、世帯間の所得格差を表すジニ係数は警戒ラインを突破するなど、格差の拡大が深刻となっている。新浪網が伝えた。

中略

 しかし、これとは対照的に、中国の国民1人あたりの平均収入は、先進諸国にはるか及ばない。国家統計局の統計によれば、2010年の中国の平均年収は13,476人民元、このうち農村部では5,919元となっている。加えて、インフレが低所得者層を苦しめている。世界銀行の統計によれば、同年の中国のジニ係数は0.47と、30年前の約2倍に達している。これは、社会の動乱を引き起こす可能性がある警戒ライン0.4をすでに超えている。
中国のジニ係数、警戒ラインを突破、30年前の2倍

ジニ係数とは統計学的に社会における所得分配の不公平性を測る指標で、所謂先進国では概ね0.4以下になるとされているものです。ちなみに、先進国でもっとも富の偏在が大きい米国で0.38程度(2000年)、最近格差が拡大していると言われている日本の場合は0.33程度(2005年)で推移しています。

これに対して、中国のジニ係数は世銀統計で0.47とされており、暴動が頻発したり、革命が発生すると言われている水準の0.5に到達してきています。案の定、その後にこんな事件が発生していました。

 中国・広州市郊外で大規模な暴動が発生した。加わった人数は1000人に達し、警察車両を次々に破壊。建物に押し入って設備をたたき壊す映像もインターネット上に投稿されている。

 北アフリカのチュニジアで起き、中東に連鎖した「ジャスミン革命」と名付けられた民主化運動を、中国でも実現しようと先導するグループも、今回の暴動の様子を執拗に発信している。
広州で1000人規模の大暴動発生 パトカー次々と破壊し、建物に乱入

この動画は昨日のニュースで見ましたが、パトカーがひっくり返されたり器物が破壊されただけではなく、手当たり次第に街へ放火したりしており、明らかにデモの一線を越えて暴徒と化していました。

まあ、中国では報道されないだけで年間1000件以上の暴動が発生しているとする説もあり、暴動はある種の日常茶飯事であることも事実です。しかしながら、今回の暴動には従来と大きく異なる点があります。それは発生した場所と暴れた人達です。

少し前にも、内モンゴル自治区で250人規模の暴動が発生していましたが、従来の暴動が新疆ウイグル、チベット、内モンゴルなど、辺境の少数民族地域で発生した民族紛争的運動だったのに対して、今回は広州という漢民族の大都市で発生しています。また、暴れた側も地方の出稼ぎ労働者ではありますが、れっきとした漢民族です。

記事の本文によると、暴徒が向かった先は広州の高級住宅街だったとのことで、明らかに「漢民族 対 漢民族」の闘争が表面化した事件だと言えるでしょう。これは事態の新しい局面です。

そしてその中国では、政府が躍起になって押さえに掛かっているにも関わらず、一向にインフレが収まりません。

 6月14日(ブルームバーグ):中国の5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.5%上昇と、約3年ぶりの高水準になった。4月は5.3%の上昇だった。同月の工業生産もエコノミスト予想を上回る伸びを示し、追加利上げ圧力が持続することとなった。

CPIの5.5%上昇はブルームバーグが集計したエコノミスト予想の中央値と一致した。5月の工業生産は13.3%増となり、市場予想の中央値(13.1%増)を上回った。固定資産投資の伸びも加速した。中国国家統計局が14日発表した。
中国:5月CPI、前年比5.5%上昇に加速-約3年ぶり高い伸び

それもそのはず、1-5月の都市部固定資産投資(つまり不動産投資)は、前年同期比で25.8%も増加しています。政府が懸命に土地バブルにブレーキを掛けているところに、民間はガンガンアクセルを踏んでいる状態なのです。完全に投資資金が暴走しています。

その結果、食料品などの貧困層を直撃する物価が上昇し、年率20%程度で伸びている給与でも追いつかない程の高騰を見せています。貧困層にしてみれば、富裕層が不動産投資で大きく儲けてホクホクなのに対して、自分たちは煽りを食らって困窮する形となっており、恨みもひとしおというところでしょう。

ところが都市住民の殆どは、この貧困層の「恨み」に全く気付いていません。試しに家内にこのニュースを教えたところ、「生活できないなら田舎に帰ればいい」とか軽く言っていて、とっさに「ヲイヲイ、低所得の出稼ぎ労働者がいるから、都市住民の生活レベルが維持できるんだろ」と反論したのですが、よく考えてみれば、上海人の殆どは家内と同じ思考だということに思い至りました。

そうなんです。(私の知る限り)中国人というのは徹底的に個人主義、血縁主義であって、親戚でもない赤の他人のことなど微塵も気にしていません。ということは、中国がこの問題を所得分配によって解決することはあり得なく(都市住民が拒否するため)、この騒乱はどんどん大きくなる可能性が高いということです。

世界経済が失速気味の昨今、中国は内政の不満を外敵(南沙諸島問題や尖閣諸島問題など)に向ける方向に舵を切っており、東アジアで武力紛争が発生することも、少しは意識しておく方が良さそうですね。

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