中国

2011年12月 1日 (木)

中国がリセッションに突入

11月30日夕刻に、中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率を50bp引き下げ、金融緩和に転じたことを発表しました。

 【上海=河崎真澄】中国人民銀行(中央銀行)は30日、市中銀行から預金の一定割合を強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を、12月5日から0・5%引き下げると発表した。預金準備率の引き下げは2008年12月以来、ほぼ3年ぶり。欧州債務危機をきっかけに世界経済の減速懸念が急速に強まる中、中国は金融緩和策へと転換を図ることになる。

 中国政府はこれまで、高い経済成長に伴うインフレや資産バブルを抑制する対策として、利上げや融資規制など金融引き締めを強化してきた。その影響で資金繰りが悪化した企業の倒産が相次いでいたところに、最大の貿易相手先、欧州の債務危機で輸出が伸び悩んだことが、金融政策転換の判断を後押しした。

 預金準備率を引き下げれば銀行は貸出量を増やすことができる。その結果、市中に出回る資金の量が増えて景気を下支えする効果が期待できる。市場では同準備率のさらなる引き下げを予想する声もある。
中国が金融緩和に転換 預金準備率0・5%引き下げ、欧州危機が引き金

昨年11月から今年8月に掛けて、インフレ対応のために断続的に金融引締めを続けてきた中国ですが、貸し渋りなどで企業倒産が悪化したところに欧州債務危機が重なり、ようやく政策転換したものです。

「ここに来ての政策転換には、1日発表の11月度購買担当者景気指数(PMI)が相当悪化していることがあるのでは?」と観測されていましたが、やはりPMIは景況判断の節目となる50を割り込み、リセッションに突入したことを示唆する47.7となりました。

 [北京 1日 ロイター] HSBCが1日発表した11月の中国購買担当者景気指数(PMI、季節調整済み)は47.7で、10月の51から低下し、2009年3月以来、32カ月ぶりの低水準となった。11月の速報値は48だった。

 景況の改善と悪化の節目となる50も下回った。

 同指数は国内外の需要が低減する中で製造業の活動が縮小していることを示唆しており、こうしたトレンドが前日の中国人民銀行(中央銀行)による約3年ぶりの金融緩和のきっかけとなった可能性がある。

 PMIの構成指数は、海外でより国内での需要が弱かったことを示唆した。新規受注指数は10月の52.6から45に急低下し、32カ月ぶりの低水準を記録した。一方、新規輸出需要は上昇し、節目の50も上回った。

 HSBCの中国担当エコノミスト、Qu Hongbin氏は「11月のPMIは、中国製造業セクター全般で業況が急速に悪化したことを示している」と指摘した。
UPDATE1: 11月の中国PMIは47.7で32カ月ぶりの低水準=HSBC

中国国内では不動産販売の急速な落ち込みに加えて、鉄鉱石や石炭などの原材料の在庫も積み上がっていると言われており、欧州向けの輸出だけでなく、内需も相当に厳しい状態であるようです。

今回金融緩和に転じたとしても、同時に世界的な通貨安(インフレ)が進んでいますので、コストプッシュインフレからスタグフレーションに陥る可能性はかなり高いと思われます。また、中国は現時点で最大の貿易相手国ですから、日本に対する何らかの波及も避けられないでしょう。

我々一般市民に出来ることは限られていますが、少なくともビジネスや自分の資産については可能な限りのヘッジを掛けて臨まないと、大変な事態になりかねません。特に住宅ローン等を変動金利で組んでいる方は、ネイキッドでポジションを取っていることと同じですので、よくよくご注意を!

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2011年10月31日 (月)

日本の後を追う中国(国鉄編)

7月の中国高鉄事故以来、鉄道整備事業にブレーキが掛かっていたことは知っていましたが、まさか短期間にここまで状況が悪化しているとは思いませんでした。

 【上海=河崎真澄】中国で鉄道建設の中断や遅延が一段と深刻化し、工事路線の90%にあたる1万キロ以上がストップ状態に陥っていることが分かった。7月に浙江省温州市で起きた高速鉄道追突事故の影響で、自転車操業状態にあった鉄道省の資金繰りが急速に悪化しているためだ。

 中国紙、京華時報(電子版)によると、農村からの出稼ぎ労働者(農民工)ら約300万人が雇用契約の打ち切りや給料の未払い問題に直面。抗議活動など社会不安に結びつく懸念も指摘され始めた。

(中略)

 鉄道業界関係者は同紙に対し、鉄道省から鉄道建設大手2社への支払いが、1300億元(約1兆5600億円)以上滞っていると証言。このため、建設作業員への賃金も各地で3~6カ月分が未払いになっているという。鉄道建設は原材料や車両など幅広い分野を抱え、約1800万人の生活を支えている。工事中断が長引けば、政府への抗議が激化する可能性もはらむ。
中国鉄道建設、90%で工事ストップ 300万人への賃金未払いも

中国高鉄は鉄道省の直轄事業ですから、日本では昔の国鉄にあたります。当時の日本では国鉄の労働組合である国労が非常に強力で、それにより人件費が収益を圧迫した点もありましたが、中国では逆に賃金未払いというところに彼我の差を感じます。

それにしても、何処の国でもやはり国営鉄道は破綻する定めなのでしょうか?

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2011年9月26日 (月)

中国自動車大手のBYDが大リストラ

先日のエントリで指摘した中国経済の変調が、遂に自動車大手BYDのリストラにまで発展する事態となりました。普段、欧米のリストラニュースを見慣れているので、「7,000人の人員削減」と聞いてもピンと来ませんが、現在の17,000人から10,000人までの削減ですから実に40%以上の削減幅となり、実質的に事業を継続できない可能性も十分考えられる状況でしょう。

 【広州=桑原健】26日付の中国の経済紙、中国経営報は電池・自動車大手の比亜迪(BYD、広東省)が7000人の人員削減に踏み切る可能性があると伝えた。自動車部門の人員を現在の約1万7000人から1万人まで減らす計画を準備中という。同社は今年1~6月期の自動車販売台数が前年同期比23%減と深刻な販売不振に陥っており、8月にも販売会社の大規模リストラの情報が明らかになったばかりだ。

 同社は販社のリストラの規模などを明らかにしていないが、中国経営報は約2200人から880人前後への人員削減だったと報じている。6月末に深セン証券取引所に上場した同社の株価は7月上旬に33元(約396円)台の高値をつけたが、その後の業績発表やリストラ情報を受けて下落を続け、9月23日の終値は19.32元となっている。
中国自動車BYD、7000人の人員削減も 現地報道

ダイムラーやBMWも業績を落としているという情報がありますので、中国の自動車市場は巷間取り沙汰されているよりもずっと状況が悪いのかもしれません。いずれにせよ、続報を待ちたいと思います。

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2011年9月16日 (金)

日本のバブル崩壊をなぞる中国

この7月、8月で中国の経済状況が激変しているというレポートが出ました。著者の石平氏は日本に帰化した元中国人の経済評論家で、早くから中国のバブル崩壊を予言していた方です。予言に反してなかなか崩壊しないので、一時は「ウソつき」呼ばわりされていたこともあったようですが、ようやくその時が来たのかもしれません。

 今年8月以来の中国経済関連ニュースを読むと、「減少」「鈍化」「下落」などの不吉な言葉が躍っていることに気がつく。

 たとえば8月2日、中国の各メディアは、2011年上半期(1~6月)の大型トラック販売台数が前年同期比7・04%減だったと報じた。翌日の8月3日、今度は同年上半期の軽自動車の販売台数が前年同期比11%減となったことが発表された。繁栄のシンボルである中国の自動車産業の成長はついに下り坂に転じたわけである。

(中略)

 利益が減少したのは何も鉄鋼業だけではない。たとえば中国通信大手の中国聯通の今年上半期の純利益は前年同期比5・5%減、生命保険大手の中国人寿のそれは28%減。そして9月初旬に上海と深セン市場に上場する中国企業2272社の2011年上半期決算が出そろったところ、純利益合計の伸び率は前年同期のそれより半分も落ちていることが分かった。

 伸びているのは在庫だけである。8月23日付の「中国証券報」の関連記事によると、中国国内上場企業1246社の6月末の商品在庫額は1兆4200億元(約17兆400億円)で、前年同期に比べて38・2%、年初に比べて18・9%増加したという。
不動産価格、1週間で1割超下落 中国経済、凋落の最終局面に

先日のエントリで、「輸出向け在庫が積み上がっているのではないか?」と指摘した通り、6月末時点の商品在庫が前年同期比38.2%も増加しているとのことですから、現在は更に在庫増となっているのでしょう。この一方で、金融引締め政策によって不動産や製造業への銀行貸出は相当引き上げられているようで、いずれ近い内に運転資金が枯渇し、バタバタ倒れだすところが出てくるのではないかと思います。

また不動産といえば、北京の不動産価格が9月第1週に12.4%も下落したとのこと。こちらもキッカケは銀行の融資引き上げらしいので、何か日本のバブル末期を彷彿とさせます。中国政府はこれまで、内外に対して「日本の轍は踏まない」と公言してきましたが、インフレにビビって総量規制を掛けたら土地バブル崩壊というのは、結局日本と全く同じコースです。

日本の場合は、高度成長期が長く続いたお陰もあって、国内に資本が蓄積されていましたので、その貯蓄を取り崩しながら「失われた20年」でチビチビと負債を返しましたが、中国の場合は外国からの資本流入に頼っている部分が大きいため、乗っているコースは同じでも、その行き着く場所は異なるかもしれません。

イタリアなんか中国に救済してもらう気マンマンですけど、ロクな結果にならないように思えるのは果たして気のせいでしょうか?

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2011年9月12日 (月)

中国の貿易黒字が大幅に縮小

中国の8月貿易統計に異変が生じています。輸出の伸びを大幅に上回って輸入が増加しており、結果として貿易黒字は前月から43%減と大幅に縮小しています。

 [北京 10日 ロイター] 税関当局が10日発表した8月の中国貿易統計は、輸出が前年比24.5%増となり、前月の20.4%増から増加幅が拡大した。

 輸入も前年比30.2%増と、前月の22.9%増から増加幅が拡大。輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は178億ドルと、前月の315億ドルから縮小した。

(中略)

 みずほ証券アジア(香港)のエコノミスト、 Shen Jianguang氏は「今後数カ月の中国の輸出データには欧州債務危機と米景気減速の影響が反映されるだろう。第4・四半期に輸出の伸びは10%を下回ると予想する」とする一方で、輸入については「消費財、鉄鉱石、原油、大豆、トウモロコシに対する強い需要が伸びのけん引役」と指摘した。
8月の中国貿易黒字は予想以上に縮小、輸入が拡大

記事の中ではエコノミストが、「8月の貿易統計は、中国の経済成長をけん引しているのが外需でなく内需であることを示した。成長モメンタムは依然非常に強い。」と楽観論を述べていますが、上記抜粋にもあるように、輸入の伸びの大部分は原材料(コモディティ)ですから、内需というよりは輸出向け在庫が積み上がっている様にも思えます。

一方、ほぼ同時に発表された中国の8月CPIは、+6.2%の上昇でした。相変わらず食料品は高騰を続けているようです。

中国国家統計局が9日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月に比べて6.2%上昇した。上昇率は前月より0.3ポイント低く、4カ月ぶりに前月を下回った。1~8月では5.6%で、通年の上昇率は中国政府が目標とする4%を上回り、5%台となる見通しだ。

 欧米の景気減速が懸念されるなか、中国当局による追加利上げの観測は薄まりつつある。ただ、食品の上昇率は下がったが、なお高水準にあり、金融の引き締めを緩める気配はない。

 食品の上昇率は13.4%で、前月の14.8%より下がったことが全体に影響した。豚肉は45.5%、卵は16.3%の上昇だった。
中国消費者物価6.2%上昇 8月 なお高水準

中国政府は、国民のインフレに対する不満を緩和するために、全般的な所得の引き上げ政策を進めていますが、これが結果的に人件費の高騰を生み、昨年から急速に製造業の国外流出が始まっています。グローバリズムが進んだ現代の製造業は、ある種「焼畑農業」みたいなもので、普通は一度流出するとまず戻ってきません。日本の場合は「失われた20年」の痛みを味わうことで、結果的に内需主導経済に転換を果たしましたが、果たして中国はどうするのか?

人民元の為替政策と合わせて、近い内に大きな決断を迫られる状況になるかもしれません。

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2011年8月23日 (火)

おそロシア、じゃなくておそろシナ

1ヶ月前の中国高鉄事故において、当局から事故の原因と名指しで非難されていた信号設備会社の馬騁(ば・てい)会長が心臓疾患で急死したとのこと。「馬氏の知人は、馬氏には心臓の持病はないことを明らかにした上で、過度の責任を感じたことが原因ではないかと話している。」 ま、まさか・・・、ガクブル?

 【北京共同】中国誌「新世紀」系ニュースサイトが23日伝えたところによると、中国浙江省の高速鉄道事故で当該路線の列車制御関連の設備などを納入した「中国鉄路通信信号集団公司」の馬騁(ば・てい)会長が22日、政府の事故調査チームが調査のため同社を訪問中に心臓疾患で急死した。
中国信号会社の会長が急死 高速鉄道事故の調査中

(追記)
こっちの方が良さ気なタイトルなので変更しました。

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